研究課題/領域番号 |
19K10401
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57070:成長および発育系歯学関連
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
柿野 聡子 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 講師 (30516307)
|
研究分担者 |
松浦 祐司 東北大学, 医工学研究科, 教授 (10241530)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | 歯髄診断 / 透過型光電脈波法 / Pulse transit time / 相互相関解析 / 非侵襲診断 / 歯髄光電脈波 / 歯髄血流測定 / 定量的歯髄診断 |
研究開始時の研究の概要 |
歯髄は血管や神経、リンパ管などから構成され、歯に栄養を供給する組織である。歯髄の病態診断は、治療方針の決定、歯髄保存の可否において重要な判断材料となるため、正確な診断が求められる。これまでの研究より、高輝度発光ダイオードを利用した歯髄容積脈波測定より、血流の有無という観点から歯の生死を診断できるようになった。しかし、歯髄血液は存在しても健全歯髄と言えない症例も多いことがわかってきた。本研究では、歯髄容積脈波特性の定量解析によって、加齢や外傷による血管弾性の変化、機能や病態の変化など、歯の健康度についての情報を抽出する方法を確立し、従来の診断法との併用によって信頼性の高い歯髄診断を目指す。
|
研究実績の概要 |
歯髄保存は歯の恒常性を保つ上で重要な鍵となる。これまでに透過型光電脈波法(TLP)による歯髄血流測定により、歯髄の生活反応を非侵襲的に診断できるようになった。しかし小児患者の外傷歯測定より、歯髄血液は存在しても必ずしも健全歯髄と言えない症例が多く認められる。本研究では歯髄脈波の特性を定量解析し、加齢や外傷による歯髄の血管弾性の変化、機能や病態の変化など、歯の健康度に関する情報抽出を行うことを目的とし、従来の診断法との併用による信頼性の高い歯髄診断法の確立を目指した。解析項目として、脈波の伝搬時間(Pulse transit time; PTT)および歯と指尖の光電脈波の相互相関係数の検討を行った。初年度から2021年度にかけてTLP測定データの収集と解析を行った。 2022年度は、健全歯のPTTに関する論文発表を行った。PTTは容積脈波が心臓から末梢へ到達する時間で、増齢に伴う血管壁の変化や伸張性を反映すると言われており、心電図のR波と容積脈波のピークの位相のずれを測定する。20~50代の被験者の歯、指尖、耳介、つま先のPTTの統計解析を行った結果、各組織のPTTは増齢に伴い減少した。またPTTは心拍数と有意な相関を認め、血圧の関与も示唆された。更に、女性のPTTは男性よりも優位に小さく、女性ホルモンによる血管弾性の違いが関与している可能性が示唆された。 2023年度は、小児の健全歯および外傷歯を対象に歯髄脈波と指尖脈波の相互相関解析を行った。被験歯を健全歯、外傷歯、失活歯に分類し、各群の相互相関係数R(0≦R≦1)を算出した結果、3群のRに有意差を認めた。更に、生活歯と失活歯の境界、カットオフ値RよりTLPの感度と特異度を求めたところ、電気診より高い値となった。 本研究で歯髄脈波より求めたPTTと相互相関係数には、全身的・局所的な要因が関与していることが示唆された。
|