研究課題/領域番号 |
19K10443
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57080:社会系歯学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
柳 文修 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (50284071)
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研究分担者 |
岡田 俊輔 岡山大学, 大学病院, 助教 (00759681)
岡田 亜由美 岡山大学, 大学病院, 医員 (30812755)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 個人識別 / 口蓋形態 / CT / 相同モデル / 主成分分析 |
研究開始時の研究の概要 |
身元不明遺体の増加が社会問題となる中、国民の大多数を網羅する生体情報の公的データベースはなく、個人識別法の開発には、さまざまな生体情報の利用を想定する必要がある。申請者らは、上顎歯列模型を利用した個人識別法の開発を行い、その良好な識別性は国際的にも高い評価を受けてきた。一方、より取得が容易な生体情報の利用を模索する中、口蓋形態の個体差自体が高い識別性を有することが判明した。 本研究では、これまでの手法と成果を発展させ、「歯式情報に依存しない個人識別法の確立」を目的する。また、膨大な既存データとして存在する口蓋骨CTデータを利用することで、大規模自然災害への適用とその有用性についても検討を行う。
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研究実績の概要 |
2023年度の研究計画における到達目標は,「CTデータ(DICOMデータ)の閾値調整について再検討を行い,軟組織が残った状態ではなく,骨形態そのものを再現できるよう検討を行っていく」,であった.まず,DICOMデータから作成した3次元画像をモニター上に表示させ,手動で閾値調整を行い,最適と思われる数値の設定を試みた.設定した数値をもとにDICOMデータから骨形態を自動で抽出し,STLデータの形態再現性とテンプレートの適用に耐えうる表面性状が得られているかを確認した.その結果,単一の数値ではサンプルごとの相違(主にCT値)に対応できず,個々に手動での微調整が必要であった.通常,頭頚部領域の画像診断においては,観察対象によって硬組織用と軟組織用,2種類のデータを使い分けるが,STL化に使用するDICOMデータについては,軟組織用DICOMデータを用いることで良好な結果が得られた.一方,画一的に作成したSTLデータにテンプレートを使用した場合,通法の1方向からの投影方法では,分析可能な相同モデルの作成が難しい場合があり,小孔の目立つSTLデータでは,複数方向からの投影が必要であった.つまり,STLデータの作成か相同モデルの作成かのどちらかに作業量と時間が必要となり,膨大なサンプル数が必要となる社会実装に向けたデータベース化を考慮した際の有用性については課題を残すこととなった. 本申請課題では同一性識別の一手法として,相同モデル化技術を応用しているが,近年の高スペックPCの低廉化と人工知能の利用により,これまで演算処理が簡単ではなかった大容量データの利用,蓄積が可能となってきている.相同モデル化技術による低容量化で得られる利点と相同モデル作成の作業量とのバランスを再検討し,形態の同一性識別における他手法を模索する必要があると考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データの蓄積は十分ではないが,変更した研究手法の検討がほぼ終了している.最終目的である社会実装を想定した際の本研究課題の問題点の抽出,解決法の具体的検討に段階が進んでいる.また,実施期間を延長したことで,本領域のさらなる発展に向けた取り組みを開始している.
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今後の研究の推進方策 |
当初予定していた研究手法と到達目標に一部変更を加え,データ加工の再現性に注力することで一定の成果は見込めるものと考えている. 最終年度は,CTデータ(DICOMデータ)の閾値調整について再検討を行い,軟組織が残った状態ではなく,骨形態そのものを再現できるよう検討を行っていく.
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