研究課題/領域番号 |
19K10539
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
一ノ渡 学 岩手医科大学, 看護学部, 講師 (00360701)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 院内感染対策 |
研究開始時の研究の概要 |
医療従事者が行う手指消毒において、手術時手指消毒は、手術部位感染防止のために必要な医療現場において最も衛生水準の高い手指消毒法である。 そこで、医療従事者による手術部位感染症防止を目的として、また、医療従事者が保菌している薬剤耐性菌の伝播防止のために、常在細菌の指標とした感染制御について知見を得る。 今回の検討では、協力施設で検出される手指細菌の検討により詳細な国内の医療従事者の保有細菌の状況を把握し知見を得る。 したがって、これまで患者のみに焦点を当てることが出来なかった我が国の医学研究において、医療従事者に焦点を当てた本研究は、大きな役割を担うと考えている。
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研究実績の概要 |
<新型コロナウイルス流行後の医療従事者由来手指細菌検出状況による発育遅延の影響> 2020年からの新型コロナウイルスの伝播が報告された中で各医療機関はその対応に見舞われ現在まで流行前の状態に戻ったかといえば決して改善には至っていないと示唆される。そういった状況下で本研究の主旨として医療機関に介入して調査をすることが目的であり、消毒薬を含めた感染防止に関する物品の流通も滞る最中での継続調査は非常に困難であると一昨年度は判断を余儀なくされた。2021年度ではコロナウイルスの対応策も改善が見られたので、現状の手術室スタッフの手指細菌の状況について検討再開が可能と考え調査再開することにした。 その結果、これまで通常の24時間培養でなく48時間の監視をすることで生菌状態を確認できた手術室スタッフの手指細菌において、この条件においても生菌状態を確認することができなかった。ほぼ保菌状態を確認できるブドウ球菌属においても確認できなかったことから、発育遅延現象がコロナウイルス流行後進んでいることが示唆された。その考察の一助として16S rRNA領域のメタゲノム解析を行うと、全検体でブドウ球菌属が検出された。したがって、検体においてブドウ球菌属は存在するが増殖能が低下していることが示唆された。 新型コロナウイルス流行により手指衛生頻度が多く、スクラブ洗浄等の頻度が高まっている可能性により手指細菌の状態の変化が起こっていることが示唆された。一見して検出されない状態でも発育遅延による可能性が考えられ、今後も医療従事者保有細菌の状況はさらに変動する可能性が考えられる。したがって、流行終息後の変動についても検討する必要があると示唆された。この結果は第44回日本手術医学会総会にて発表した。またその会合において本研究関連情報の収集を菊地良聖矢氏、齋藤陽菜実氏、成澤沙恵氏に協力依頼し遂行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスの流行によって一昨年度では医療機関に介入して調査することが困難となり成果発表の場も会期延長があったため研究遂行の遅延を甘んじて受けたが、本研究の希少性を考えると手指細菌の採取期間を1年間休止して調査を行い新型コロナウイルス流行前後での変化について解析することの重要性を見出した。その結果、さらなる社会貢献に繋がると判断するに至った。 この判断により予算執行を敢えて遅らせたが、コロナウイルス流行後の手指細菌の変動を確認することができ、本研究計画時より新たな知見を得ることができているため、結果としては順調に進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に採取した検体の調査を遂行している。これまでに見られた発育遅延のほか、表現型の変化に着目して検討を行っている。 研究協力者である福岡みらい病院手術部長松田和久先生と今後の研究遂行の打ち合わせについて、本研究の希少性からも重要と考えるが日程は調整中である。
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