研究課題/領域番号 |
19K10588
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
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研究機関 | 広島文化学園大学 |
研究代表者 |
中村 哲 広島文化学園大学, 看護学部, 教授 (40207874)
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研究分担者 |
翠川 裕 三重大学, 医学系研究科, リサーチアソシエイト (10209819)
翠川 薫 鈴鹿大学, こども教育学部, 教授 (20393366)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | フィリピン共和国 / 水系感染症 / 日本住血吸虫症 / 媒介貝 / 台風災害 / 水環境 / フィリピン / レイテ州 / 台風被災 / 環境水 / 疾病監視GIS / フィリッピン / Onchomelania quadrasi / GIS / 空間疫学 / 住血吸虫 / 感染症対策 |
研究開始時の研究の概要 |
A.台風被災以後の対象地域の日本住血吸虫症媒介住民の上下水の水質衛生状況と環境水利用状況、地域内の食品細菌の採取把握(一年目から三年目まで継続) B. タナウアン郡内(パロ市の一部を含む)の日本住血吸虫症の中間宿主貝の分布状況の把握(一年目から三年目まで継続) C.本研究結果で得られる水系感染症リスクマップの創出と中間宿主貝の分布予測と行政へのデータ還元(三年目) D.水域特性を考慮した改良型日本住血症監視GISシステムの導入の可能性の検討とまとめ(三年目) ③ 水系細菌感染症と風土病である住血吸虫症のモデル地域内での今後の発生予測と対策提言と地域住民のアウトリーチに直接貢献する。
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研究実績の概要 |
昨年5月にCOVID-19のパンデミック終結宣言が行われ、ようやく海外調査の準備が整った。これにより、平成6年2月下旬から3月上旬まで現地調査を再開した。この間、中村はレイテ州および隣接するサマール島内の観測定点において、地下水の水質を測定した。またレイテ州南西部に位置するバイバイ市の山岳村落域で直近の2020年時点で住血吸虫症患者の発生が見られていた。レイテ州の西部では同症の媒介貝は生育しないことが知られていた。このため今回、初めて患者が発生した2か所の村落の山岳地で媒介貝の生息状況と水質および住血吸虫感染頻度を測定することができた。その結果、感染率は最大で5%極めて濃密であった。また生息水域のpHは弱アルカリ性であった。これらの生息域の土壌を含めた環境分析は現地研究協力者と共に実施し、来年度に向けて結果を報告する予定である。また研究分担者の両翠川はルソン島北部ラオニオン州州都のサンフェルナンドに置いて同地内水域の水質を対象として分析を行った。今年度で再開した現地調査の結果の一部は2024年3月7-9日に開催された第94回日本衛生学会学術総会でのシンポジウム「日本衛生学会における感染症研究の必要性~新型コロナパンデミックを経て~」の招聘シンポジストとして発表した。さらに直近の現地調査で作成したレイテ州内の媒介貝の分布地図のデータについて、今回の山岳地の事例及びこれまで新たに確認した地点をを含めたコンピュータデータセットとして、研究協力者が関係・所属するPaloの国立病院・住血吸虫症センター(旧住血吸虫防疫研究センター病院:DOH)の検査研究部門へ寄贈した。これにより住血吸虫のリスク管理に関わるGIS監視への進展の契機が得られるものと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
直前回の調査で現地研究協力者を通じて得られたレイテ州内での日本住血吸虫症媒介貝の分布データからその分布に関わる地図を作製した。また約3年振りに実施した現地調査により、2013年に発生した台風ヨランダ(現地名)に罹災したタクロバン市および近隣都市・村落地域で定点として観測していた水源で水質調査を再開し、経年的な水質の変化を確認することが出来た。加えて、2020年にレイテ州の南西部バイバイ市域内山岳村落域で初めて発見された日本住血吸虫症患者が居住する地域で現地調査を実施し媒介貝の生息域を特定し、そこでの水質を測定した。これらの貝の分布に関わる確認と生息域の状況はこれまで報告されておらず、本研究での成果に加えることが出来た。また、これまでの調査で確認された数か所の新たな生息域を含め、既知の分布を再度整理し基礎となるGISデータとして、パロ市に存在する前述の研究機関(DOH)にある日本住血吸虫症検査研究部門に寄贈した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は当然ではあるが、成果を公表すると同時に、同研究施設である病院に所属する研究カウンターパートを最終年度の11月に日本に招聘し、広島現地で本研究に関わる発表と交流会を実施する。また、同研究施設のラボラトリースタッフの生息地の土壌の分析に関わる研究協力および寄生虫の同定に関わる現地セミナーを継続して行く所存である。
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