研究課題
基盤研究(C)
約1400人の患者コホートである小児インスリン治療研究会の登録患者・保護者を対象に自己管理能力と血糖コントロール状況や糖尿病療養環境、QOLに関してのアンケート調査を1年毎に行う。本研究の結果と小児インスリン治療研究会の臨床データを統合することで自己管理能力と血糖コントロール状況や糖尿病療養環境、QOLの横断的評価および患者毎の縦断的評価を行い、それぞれの関連性について検討する。また小児科発症1型糖尿病患者における成人医療へのトランジションの目安となる療養行動のマイルストーンを作成する。
本研究は小児1型糖尿病の治療内容と治療成績、病態の多施設共同研究を行っているコホート研究の組織である小児インスリン治療研究会の補完研究として18施設で行った。2020年10月から 2021年2月、2021年10月から 2022年2月、および2022年10月から2023年2月に自己管理能力・生活環境・生活の質に関する自記式調査をWebアンケート主体(利用できない施設はアンケート用紙)で行い、184名から回答を得た。データ欠損のなかった有効回答164名で解析を行った。糖尿病がないと想定した場合を基準として種々の項目について9段階(-4最悪、0不変、4最良)で糖尿病の影響を自己比較した。その結果、学校生活が平均-0.38 [95%信頼区間:-0.59, -0.17]と有意に悪化していた。これはHbA1cが低いほど悪化し、カーボカウント施行者で悪く、インスリンポンプ(ポンプ)使用者で良かった。つまり、1型糖尿病患児の学校生活は血糖管理が良いほど悪化し、ポンプ使用で改善していた。親から見た子の学校生活はカーボカウント施行者で悪化していたが、HbA1cやポンプによる影響は認めなかった。持続グルコース測定使用はいずれにも影響はなかった。また親は子の食事に対する負担を軽視する傾向があった。患者本人の自己血糖測定と自己注射の手技獲得は5歳以下の発症では6歳までに半数、以降の発症では1年以内に83-94%であった。自己注射手技獲得遅延を6歳以下発症では9歳時点、7歳以降発症では発症後1年経過しても未習得の者としたろころ、ポンプ使用群で25%(非使用群8%)と遅延割合が高かった。摂食障害に関してはEAT-26とEDIを7施設50例で施行したところ、EDIの下位尺度である体型不満、対人不振において優HbA1cが9%以上の群で位に点数が高く、摂食障害を併発している症例も含まれると示唆された。
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