研究課題/領域番号 |
19K10623
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
神谷 保彦 長崎大学, 熱帯医学・グローバルヘルス研究科, 教授 (40437843)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | スナノミ症 / 世帯調査 / 臨床試験 / 皮膚病変 / 学校保健 / ココナッツオイル / ケニア / スナノミ / 比較対照研究 / 外用治療 |
研究開始時の研究の概要 |
スナノミ症は熱帯地域にみられる寄生性皮膚疾患であり、特に貧困層に蔓延しているが、現地で継続可能な治療法が見出されていない。地域住民が継続できる有効かつ安全なスナノミ症外用療法を確立することが本研究の目的である。ケニア西部の蔓延地域でスナノミ症を有する学童を対象に、本人と保護者の同意を得た上で、3つの外用療法(シリコンオイル、5%炭酸ナトリウム+3%過酸化水素水、ニーム+ココナッツオイル)を無作為に割り当て、外用療法後、各群の治癒率や副作用の出現率を比較する。本研究は地域保健の枠組みの中で、教員やコミュニティヘルスボランティアとの協調下で行い、治療の運営管理も地域や学校で持続可能な形にする。
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研究成果の概要 |
本研究は熱帯地域の貧困層に蔓延している寄生性皮膚疾患スナノミ症に対して、ケニア西部ホマベイ県の2郡を対象地域として、その罹患・治療状況の把握と継続可能な外用治療の確立を目的とした。スナノミ症は半乾燥地域に集中し、亀裂のある土間の家屋に住む子どもや高齢者に多くみられた。不潔な自己摘出を含め、不適切な治療法を患者の半数以上が採っていた。医療従事者による治療では虫体摘出術が多く、薬剤治療は供給不足が障害となっていた。治療法の比較対照研究では、ジメチコンの治癒率が高かったが、ソーダアッシュ(炭酸ナトリウム)も現地での有用性が期待された。さらに地域の慣習や診療事情に合わせた治療法の検討が重要である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的意義として、ケニア西部ホマベイ県の2郡におけるスナノミ症罹患者の年齢分布、地域的分布、生活環境要因を特定した点、また治療に関する比較対照研究により、ジメチコンの高い治癒率を再確認する一方で、現地で普及しているソーダアッシュの有用性を明確にできた点が挙げられる。さらに、医療従事者や地域住民への啓発や殺虫機序に関する研究を提案している。 社会的意義としては、社会的弱者である貧困層に多いスナノミ症の治療向上によるスナノミ症罹患の減少が、生活の質の改善とともに偏見や差別の軽減に繋がる点が挙げられる。スナノミ症が蔓延する地域全体の活性化にも寄与すると期待される。
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