研究課題
基盤研究(C)
公衆衛生学的見地から大きな疾病負荷をもたらすアルコール摂取および精神疾患は,互いに影響を与える可能性が先行研究から示唆されるものの,両者の関係はいまだ未確定である.観察研究では,未知の交絡要因や因果の逆転などを排除できないことがその主因であるが,近年疫学研究に導入されたメンデルランダム化法を用いることにより,単なる関連を超えた因果関係を推測することが可能になった.そこで,本研究ではアルコール摂取が抑うつ・不安など計12種類の心理的アウトカムだけではなく労働生産性など計4種類の社会的アウトカムに及ぼす因果効果についても,メンデルランダム化法を用いて確証することを目的とする.
本研究では,すでに取得済みのGenome Cohort on Psychosocial Traits (GCOP)研究サンプルだけを当初は用いる予定であった.GCOP研究では,約16000人を対象に,すべて妥当性の検証を受けた自記式質問紙を用いて心理社会的アウトカムおよび性別,年齢,婚姻状況,学歴,身体活動,食物摂取などを測定した.また,サンプリング時に行われた健診データも入手し,研究に利用可能である.GCOP研究では,すでに約1000人分のサンプルに対しGenome-wide AssociationStudy (GWAS)ジェノタイピングを施行済みである.2022年度に,分担研究者の協力の下,東北メディカル・メガバンク計画による研究被験者に対しGCOP研究の質問紙調査が可能となった.この被験者に対しては,すでにGWASジェノタイピングが施行済みであり,そのジェノタイプデータとこれまで行ってきたGCOP研究データと合わせると,サンプルサイズを当初予定より大きく増やすことが可能になる.そこで,この調査を行うための倫理審査を受け,承認を得た後,東北メディカル・メガバンク計画による研究被験者9099人に対し,GCOP研究の質問紙を用いて郵送調査を行い,最終的に5469人から回答を得た.さらに,GCOP研究サンプルの約2000人に対し新たにGWASジェノタイピングを施行し,すでにGWASジェノタイピングを施行済みのGCOP研究サンプル約1000人分と東北メディカルメガバンクのサンプルと合わせると,ジェノタイピング施行済みのサンプル数は約8000人と,当初予定していた5000人に比べ大きく増やすことに成功した.
4: 遅れている
当初の計画に加え,東北メディカル・メガバンク計画による研究被験者9099人に対し,GCOP研究の質問紙を用いて郵送調査を行い,5469人から回答を得ることができた.これにより,当初予定していた5000人を大きく上回るサンプルが得られたが,この追加調査の施行により予定より進捗が遅れることになった.
まだジェノタイピングを未施行のGCOPサンプルに対し,ジェノタイピングを行い,ジェノタイプデータがそろった段階で,メンデルランダム化解析を行う.
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
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