研究課題/領域番号 |
19K10695
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58040:法医学関連
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
島田 亮 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (10376725)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 髄膜リンパ管内皮細胞 / フローサイトメントリ / セルソータ / Microarray / mRNA発現 / ELISA / タンパク発現 / 髄膜リンパ管 / 脳損傷 / meningeal lymphatics / traumatic brain injury |
研究開始時の研究の概要 |
髄膜リンパ機能の障害は、脳への巨大分子の血管内流入および間質液からの巨大分子の流出を遅らせ、マウスにおける認知障害を誘発すると最近報告されている。脳損傷歴のある者は認知症やアルツハイマー病が罹患しやすいと知られている。脳損傷と細胞老化を特徴とする晩年の認知症やアルツハイマー病と直接結びつくのに限界がある。ここで、脳損傷は髄膜リンパ機能に悪影響を与え、晩年の認知症やアルツハイマー病に結びつくと考える。本研究は硬膜と脳細胞の解析を行い、脳損傷後髄膜リンパ管経時的に早期から晩年期までどのように変化しているかと髄膜リンパ管の障害は脳損傷後認知機能に対しどのように関与しているかを解析する。
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研究成果の概要 |
髄膜リンパ管は、脳脊髄液と脳の組織液を、頸部浅リンパ管と頸部深リンパ管を経由し、深前頸リンパ節に輸送している。外傷性脳損傷での髄膜リンパ管障害を捉えるため、マウスの外傷性脳損傷モデルを用い、脳損傷作成後に髄膜からセルソータで採取した髄膜リンパ管内皮細胞の遺伝子とタンパク発現の変化を解析した。 髄膜リンパ管内皮細胞数は損傷群がSham群と比べて有意に減少した。リンパ管内皮細胞に特異的に発現するLYVE1の髄膜リンパ管内皮細胞のmRNA発現量は損傷群が有意に減少した。一方、リンパ管新生にかかわるFLT4とNRP2の髄膜リンパ管内皮細胞のmRNAとタンパクの発現量は損傷群が有意に増加した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
晩年のアルツハイマー病や認知症のリスクの増加は、若年時の中等度および重度の脳損傷に関連している。多くのヒトは早期の脳損傷の症状としては完全に回復したが、新たな認知症状は脳損傷後数十年で現れる。脳損傷時と晩年の間に多くの事象および暴露が脳損傷による障害と相互作用する可能性があるか、あるいは認知症のリスクに寄与する可能性がある。これらの要因に関する客観的な情報はほとんどない。本研究は若年外傷性脳損傷での髄膜リンパ管内皮細胞の障害と新生が確認され、髄膜リンパ管障害の病態への関与が示唆された。今後、髄膜リンパ管障害が晩年脳に及ぼす影響の解析を予定している。
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