研究課題/領域番号 |
19K10700
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58040:法医学関連
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研究機関 | 科学警察研究所 |
研究代表者 |
桑山 健次 科学警察研究所, 法科学第三部, 主任研究官 (40356233)
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研究分担者 |
宮口 一 科学警察研究所, 法科学第三部, 室長 (10370884)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 毛髪 / 大量尿 / 睡眠薬 / 質量分析 / 質量分析計 / 尿 |
研究開始時の研究の概要 |
睡眠薬を混入した飲食物を摂取させ、被害者が意識朦朧の間に性的暴行(デートレイプ)や窃盗を行う犯罪が頻発している。被害者は精神的ショックや記憶障害により、警察への通報を躊躇し、睡眠薬摂取の証明に必要な尿や血液の採取が遅れる場合が多いというのが睡眠薬悪用犯罪の特徴である。 「睡眠薬の単回摂取かつ3日以上経過という薬物検出が極めて困難な状況下、いかに睡眠薬の摂取を証明し、摂取日を特定するか?」の問題に対し、単回摂取した睡眠薬を数か月~数年後に採取された数本の毛髪や数日後に採取された尿から確実に検出するための高度な分析法を開発するとともに、従来不可能であった摂取日を特定する。
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研究実績の概要 |
睡眠薬を悪用した犯罪は後を絶たないが、1回しか摂取していない睡眠薬を、数日後に採取された生体試料から検出することは現状では極めて困難である。本研究では、睡眠薬の摂取から数か月~数年後に採取された数本の毛髪や数日後に採取された尿から睡眠薬成分を確実に検出する方法を開発する。毛髪では、本研究代表者が開発した1本の毛髪を0.4 mm間隔に断片化するマイクロ分画分析を用いて、数か月~数年前に摂取した睡眠薬の毛髪内の存在部位を特定するとともに、毛髪の成長速度をもとにその摂取日を特定する。尿では、1回の排泄量の大部分(100 mL以上)を使用し、複数の薬物抽出技術(分散固相、液相マイクロ等)を連結し、高度に濃縮・精製された睡眠薬成分の抽出物を得る。本法により、毛髪と尿の両面での睡眠薬検出の可能性を高め、検出期間を拡大させるとともに、従来不可能であった摂取日(事件日)を特定し、睡眠薬悪用犯罪の証明力を強化する。 令和4年度は、100 mLの尿から微量の睡眠薬成分を検出する方法を検討した。まず、前処理の初段階で液量を減らし、成分を濃縮する方法を検討したところ、操作性、抽出効率等の観点からC18カラムによる抽出が第一段階目の前処理法として最も適していた。しかし、C18カラムだけでは夾雑物の除去が不十分であり、睡眠薬成分の検出は困難であったため、第二段階目の前処理として、溶出液をアニオン交換型の固相カラムに通して陰イオン性の夾雑物を除去した。さらに、ジクロロメタンによる液液抽出、HLBカラムによる抽出を行い、段階的に液量を減らしつつ抽出物の精製を行った。このような多段階の抽出・精製操作により、従来の1 mL程度の尿からの分析法と同程度の感度で睡眠薬成分を検出することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおり、100mLの尿を濃縮し、夾雑物を除去しつつ、睡眠薬成分を検出する方法を検討できたため。
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今後の研究の推進方策 |
100 mLの尿からの薬物抽出法の操作性、精製効率を向上させ、大量尿からの睡眠薬検出法を完成させる。 睡眠薬摂取者の毛髪及び尿を用い、それぞれ開発した方法の有効性について実証試験を行う。
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