研究課題/領域番号 |
19K10705
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58050:基礎看護学関連
|
研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
小山内 暢 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (40514138)
|
研究分担者 |
工藤 幸清 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (10214967)
北島 麻衣子 弘前大学, 保健学研究科, 准教授 (70455731)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | 職業被ばく / 水晶体 / 線量分布図 / 放射線教育 / 線量評価 / 水晶体線量 / 放射線防護 / 放射線看護 / 放射線計測 / 空間線量分布 / 水晶体被ばく / 規制科学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、種々の放射線診療における放射線場を再現し、暴露時間等の業務従事状況の実態も踏まえた上で、主として看護師の水晶体被ばく線量を詳細に評価する。 加えて、臨床の場で実際に個人が受ける水晶体線量を正確に評価するには、水晶体専用の線量計が必要であるが、全ての放射線診療従事者が専用の線量計を装着することは実用性の面からも決して現実的でない。そのため、本研究では、現在広く普及しており、放射線業務従事者が頭頚部や胸腹部に装着している個人線量計による簡便な水晶体線量の評価手法も考案する。
|
研究実績の概要 |
今年度は、主に、IVR(画像下治療)室内の各立ち位置における水晶体線量を評価し、水晶体線量による散乱X線分布図を作成した。一般に、散乱X線分布図(空間線量分布図)は、電離箱式サーベイメータ等によって測定された「場の線量」(実効線量と呼ばれる全身の線量に対応)を基に作られており、人が受ける水晶体線量を表しているわけではない。今回我々は、水晶体線量評価用の専用の個人線量計を医療従事者模擬ファントムの左右の眼それぞれに装着し、患者ファントムからの散乱X線量を評価した。検査室内水平面を50 cm×50 cmの格子状に区画して測定点とし、測定点(15点)に医療従事者模擬ファントムを順に配置して各立ち位置での水晶体線量を測定した。医療従事者模擬ファントムの顔の向きは、モニタ中心向きとした。測定値を基にデータ補完を行い、水晶体線量による散乱X線量分布図を作成した。各立ち位置での放射線防護メガネ(以下「防護メガネ」という。)による線量低減効果も示すため、防護メガネの有無それぞれで散乱X線分布図を作成した。防護メガネによる線量低減効果に着目すると、IVR装置の寝台前の立ち位置では、左眼に比べ右眼の線量低減効果が小さかった。この現象は、散乱X線の入射角及び防護メガネの隙間に起因するものであると考えられた。また、防護メガネなしの場合に、立ち位置によっては、左眼に比べ右眼の水晶体線量が大幅に低い場合があった。これは、立ち位置、つまり顔の角度によっては、医療従事者ファントムの鼻近傍の鼻骨、軟骨、軟部組織によって散乱X線が大きく吸収されるためであると考えられた。このように、一般的な空間線量分布図では評価できない水晶体線量の立ち位置による違いや防護メガネの線量低減効果を反映させた散乱X線分布図を作成することができた。医療従事者に対する放射線教育における活用も期待される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
順調に研究を遂行できており、研究成果の公表も行うことができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、これまでの研究で網羅されていな部分の検討を行うとともに、論文発表等による研究成果の公表を行いたい。さらに、研究代表者・分担者が担当する放射線防護に関するセミナー等での研究成果の活用・周知にも力を注ぎたい。
|