研究課題/領域番号 |
19K10757
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58050:基礎看護学関連
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
久米 弥寿子 武庫川女子大学, 看護学部, 教授 (30273634)
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研究分担者 |
田丸 朋子 武庫川女子大学, 看護学部, 講師 (00634940)
山口 晴美 武庫川女子大学, 看護学部, 助教 (00750506)
清水 佐知子 武庫川女子大学, 看護学部, 教授 (50432498)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | コミュニケーション / 可視化 / 看護学生 / 看護師 / 構造化 / 看護師間 / 学生間 / 定量化 / チームワーク状況 / 職務満足度 / 離職防止 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、日立ハイテック社製のビジネス顕微鏡を使用し、看護師間や看護学生の集団内コミュニケーションの量的把握を行う。会話内容は測定せずにコミュニケーションの量や構造を可視化し、(a)対面時間、(b)密度、(c)集中度、(d)相互性により実態を明らかにする。さらに対面時間とチームワーク測定尺度や職務満足度尺度の下位尺度との順位偏相関係数を算出し、その関連性を分析する。コミュニケーション構造については、測定期間内の組織ネットワーク図を表示し、ネットワークの密度や位置関係からその特徴を考察する。それらに基づき、就業につながる教育的支援と早期離職防止のための具体的対策や提案を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、看護師間または看護学生間で行われる対面コミュニケーションを量的可視化可能な定量分析ツールを用い、1)看護師間または看護学生間のコミュニケーションの量や構造を明らかにすることに加え、2)看護師間または看護学生間のチームワーク状況や参加満足度を明らかにし、3)コミュニケーションの量や構造とチームワーク状況や職務満足との関連性の分析を行う。看護師及び及び看護学生のコミュニケーションの現状分析から、新人看護師の早期離職防止につながるスタッフ間コミュニケーションのモデル化と看護基礎教育におけるコミュニケーション教育のあり方を検討するものである。当該年度は、医療現場への負荷を考慮し、看護学生間のコミュニケーションの現状分析を継続した。具体的には、看護学生のコミュニケーション演習において同意の得られた54名の参加者のセンサー同士の通信による対面時間等の活動データを記録し、グループごとの「組織ネットワーク図」によりコミュニケーション状況の可視化を試みた。また、測定データから、加速度リズム、アクティブ時間等により、会話の活性度を推測し、組織ネットワーク図との照合を行った。さらにチームワーク尺度(三沢ら, 2009)を参考にチームワーク状況や参加満足度を問うリッカートスケールにて主観的なとらえ方と対話時間・速度等の相関関係を分析した。 看護学生間の「組織ネットワーク図」の分析から、代表的な3つのパターンが見られ、1)全体的にメンバー間で同じように凝集化・連携図が示されたパターン、2)凝集化に若干の差があったパターン、2)一部のメンバーを中心として連携図が示されたパターンがあった。看護学生の全体的傾向としては、平均的に同じようにネットワーク図が示されたパターンが多かった。対話時間と主観的な参加満足度やチームワーク状況の順位相関係数では、有意な相関関係は示されなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルスの変異株等の出現や第6~8波の感染拡大に伴う医療現場の感染予防対策上の負荷を最大限に考慮し、感染流行前に研究参加の同意を得られていた施設とも、スタッフの心理的疲弊や影響を踏まえて再調整を行うこととなり、実施時期の確定が困難であった。特に、本研究で使用する対面コミュニケーションを量的可視化可能とする定量分析ツールは、国内でも限定的なシステムであることから、早期に使用手続きの依頼を行わないと使用環境の確保が難しく、医療現場での調査開始時期が不透明な状況が継続していたため、定量分析ツールの使用時期の確定と確保も困難となった。 また、本分析ツールは、簡易な名札型センサーを装着することにより、研究参加者のセンサー同士の通信による対面時間等の活動データが記録可能となるもので、調査自体での身体的な負荷は少ないものではある。しかし、新型コロナウイルス感染対策上により、より個人防護具の使用頻度が高まり、頻繁にガウン等の着脱が求められている現場では、簡易なセンサーであっても、その装着においては、業務上の影響を考慮する必要があると考えた。従って、医療現場における調査時期を慎重に検討する必要があると考えたためである。
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今後の研究の推進方策 |
コミュニケーション可視化のための測定器具であるビジネス顕微鏡の使用可能期間及び研究対象施設との調整を再度開始し、看護実践場面でのコミュニケーションの量を測定する計画を進めると同時に、看護師間のコミュニケーション及び上級学年の学生(卒業間近の学生のコミュニケーションの測定など)の調査も検討し、実施環境や対象者の選定に関して、研究遂行上で実施可能な設定で再計画し、確実なデータ収集を目指すものである。 1)看護実践場面におけるデータ収集の再依頼(5月~6月):感染症拡大前に同意を得た研究協力施設への再依頼あるいは新規施設への依頼を行う。関係施設への研究協力についての十分な説明を行い、必要時には施設の倫理審査の受審を行う。 2)調査時期及び定量分析ツールの使用時期の確保・調整(7月~10月):上記の説明と依頼等を行い、同意を得られた場合には、調査時期と分析ツールの使用契約及び使用可能期間の確保を行う。 3)調査実施(9~11月):同意の得られた施設に出向き、対象施設内の業務負担やスタッフの人員配置的な影響の少ない時期でデータ収集を実施する。また、多施設での実施が難しい場合には、施設数を限定することも考慮し、また長期間のデータ収集が難しい場合には、期間を限定して実施するなど、実施可能な施設数や最小限の実施期間でデータ収集を行う。 上記の研究依頼や説明の過程においてもなお、看護実践場面での測定が可能な対象施設の確保及び分析ツール使用可能期間との調整が困難な場合には、前年度で分析した学生間データ分析における課題を再確認するため、看護学生の学習段階を変えて、上級学年での現状分分析を行えるように同時進行での計画を進める。
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