研究課題/領域番号 |
19K10770
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58050:基礎看護学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
能登 裕子 九州大学, 医学研究院, 講師 (40615910)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 高齢者 / 運動感覚 / 転倒予防 / 運動機能評価 / ウェアラブル / セルフモニタリング |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、自己の身体に関する感覚(身体感覚)を含めた調査と先に開発したウェアラブル端末による運動機能評価を用い、運動機能と高齢者自身の身体感覚とを軸とした層別化を行う。さらにその結果をもとに、「身体感覚」と「ウェアラブル端末を用いた運動機能評価」とのズレを評価し、転倒予防への行動変容・意識変容につながる個別的な介入指針の検討を行う。
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研究実績の概要 |
本研究では、身体感覚要因調査と、ウェアラブル端末を用いた運動機能評価により、運動機能のセルフモニタリングと早期からの転倒予防介入指針の検討を目指す。研究目的として、①ウェアラブル端末を用いた動的安定性評価による、運動機能の推定精度向上、②高齢者の運動感覚要因と運動機能を軸とした層別化(セグメンテーション化)を検討する。 今年度は、これまでに測定した若年者45名、高齢者50名を対象に、①②の分析を行った。2022年度は、若年者、高齢者とも対象者を追加し、新たにデータ収集を行ったため、ウェアラブル端末を用いた運動機能測定の精度分析および運動感覚と運動機能との関連性についての分析を実施した。ウェアラブル端末を用いた加速度の測定結果と動作解析の手法を用いた測定結果との関連性(対象者のうち高齢女性12名分)では,開眼片足立ち課題時は,加速度計から算出した姿勢角とマーカーから算出した姿勢角の回帰分析の決定係数r2は0.73(p <0.01) を示した.FTSST課題時のマーカーから算出した動作時間と加速度計から算出した動作時間(決定係数 r2=0.91, p <0.01),5m通常歩行課題時のマーカーから算出した歩行周期と加速度計から算出した歩行周期(決定係数 r2=0.93, p <0.01)においても,回帰分析の結果,高い適合度を示した.また、運動感覚と課題動作の所要時間(加速度計・マーカーから各々算出した動作時間)との相関では,段差が気になる,歩く速度が遅いと感じる等と5m通常・最大歩行所要時間との間に有意な正の相関関係,開眼片足立ち時間(最大)との間に有意な負の相関関係が認められた.これらの結果をふまえ、運動感覚と運動機能を用いた層別化に有効な評価・測定項目の分析とともに、運動感覚および運動機能に関連性のある背景要因とその活用についての検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は対象者数の増加を図れたが、2020年度(産前・産後の休暇、育児休養の取得)・2021年度(コロナ禍により研究対象者のリクルート・測定の実施が困難であった)影響から、目標としている対象者数には達していないため。
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今後の研究の推進方策 |
研究1:ウェアラブル端末を用いた評価方法と動作解析を用いた評価方法との整合性分析:広く用いられている体力測定の項目を課題とし、ウェアラブル端末による運動機能評価(主に動的安定性)と、動作解析の手法を用いた運動機能評価結果との整合性を検証する。現在、歩行動作のデータを加え、整合性の分析を行っており、マーカー軌跡と加速度計から算出した値との適合度は,いずれも双方の算出値が類似傾向にあることを示している.しかし、開眼片脚立ち課題時の姿勢推定では,特に運動能力の高い若年者の測定において、ウェアラブル測定時のノイズの処理が課題となっている。一方,高齢者では,比較的課題動作の遂行能力の高い場合も,若年者よりノイズの影響は小さく,ある一定の姿勢変化が影響していることが推測される.そのため,若年者・高齢者双方のデータを蓄積し,適合度ともにノイズとして処理する閾値の検討を引き続き行う予定である。 研究2:高齢者の運動感覚要因と運動機能を軸とした層別化(セグメンテーション化) を検討する。 感染防止対策を行った上で、測定の可能性が見込める若年層,50~60歳代および65歳以上を対象に幅広くリクルートを行い、対象者数を蓄積していく予定である。取得した全対象者のデータを分析対象とし、運動感覚要因と運動機能評価結果(ウェアラブル端末を用いた測定・マーカー軌跡の測定)との関連性の分析を進めていく。その結果をもとに,運動感覚要因と運動機能評価を用いた層別化に効果的な軸(下位項目)を検討する。また、加齢による運動感覚の変化、運動機能測定結果と背景要因(主観的健康感、運動・生活状況など)との関連を分析し、影響要因・運動機能や感覚の構成要因を検討する。
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