研究課題/領域番号 |
19K10918
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58060:臨床看護学関連
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研究機関 | 同志社女子大学 |
研究代表者 |
小笠 美春 同志社女子大学, 看護学部, 准教授 (70544550)
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研究分担者 |
當目 雅代 同志社女子大学, 看護学部, 教授 (20259435)
天野 功士 同志社女子大学, 看護学部, 助教 (40756194)
森島 千都子 同志社女子大学, 看護学部, 助教 (80735879)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 転倒・転落 / 危険予知 / 整形外科患者 / 視線計測 / 看護学 / 臨床看護学 / 周手術期看護学 |
研究開始時の研究の概要 |
成人急性期看護学実習の機会が多い整形外科領域では、看護上の問題として「転倒・転落のリスク」があがる。転倒・転落の危険予知の基盤は状況認識力である。本研究では、実習前の学生に対して、転倒・転落に関する危険予知の状況認識力を高めるため、視線計測にゲーミフィケーション(学習の動機づけ効果)を取り入れたシナリオ型トレーニング教材を開発し、有効性を検討する。まず、整形外科熟練看護師が患者の転倒・転落を危険予知する際の認知プロセスを視線計測装置で明らかにする。その結果をもとに、転倒・転落危険予知トレーニング教材を開発する。そして、看護学生に転倒・転落危険予知トレーニングを実施し、有効性を検討する。
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研究実績の概要 |
文献レビューと熟練看護師へのインタビューの結果に基づき、整形外科患者の転倒・転落危険場面の画像を作成し、熟練看護師8名を対象に視線計測を実施した。場面の設定は、右人工膝関節置換術の術後2日目の患者が、車椅子に移乗しトイレで排泄するまでの3場面(場面1:ベッド上端坐位、場面2:端坐位から車椅子への移乗、場面3:車椅子から便座への移乗)とした。 場面1は18エリアを設定し分析した。総観察時間の中央値は20.18秒で、各エリアの総注視時間で長かったものは、足先(1.73秒)、患部(1.48秒)、床頭台(1.44秒)、体幹(1.33秒)であった。各エリアの総注視回数で多かったものは、患部(5回)、ゴミ箱(4回)、足先(3回)、床頭台(3回)であった。観察するまでの時間が最も短かったのは、体幹(0.35秒)であった。 場面2は15エリアを設定し分析した。総観察時間の中央値は35.24秒で、各エリアの総注視時間で長かったものは、車椅子(5.13秒)、ベッド柵(3.47秒)、体幹(1.78秒)、オーバーテーブル(1.76秒)であった。各エリアの総注視回数で多かったものは、車椅子(12回)、ベッド柵(8回)、患部(4回)、体幹(4回)であった。観察するまでの時間が最も短かったのは、頭部(0.42秒)であった。 場面3は13エリアを設定し分析した。総観察時間の中央値は29.23秒で、各エリアの総注視時間で長かったものは、便器(3.23秒)、患部(2.70秒)、頭部(1.93秒)、車椅子ブレーキ(1.84秒)であった。各エリアの総注視回数で多かったものは、便器(10回)、患部(6回)、頭部(4回)、可動式手すり(4回)であった。観察するまでの時間が最も短かったのは、可動式手すり(0.58秒)であった。 現在、明らかになった熟練看護師の認知プロセスに基づき、転倒・転落危険予知シナリオ素材を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
遅れていた「転倒・転落危険場面における看護師の認知プロセスの明確化」において、文献レビューと熟練看護師のインタビュー調査に引き続き、2022年度は視線計測調査を完了した。視線計測調査は当初10名を予定していたが、最終的な対象者は8名となった。視線計測研究の動向を調査した先行研究より、視線計測による認知プロセスは対象者5名程度で推定することが可能であることが明らかにされており、8名のデータで分析を進めた。その結果、整形外科患者の中でも特に転倒・転落リスクの高い人工膝関節置換術後の移乗・移動を伴う排泄動作について、熟練看護師の認知プロセスが明らかにできた。よって、看護学生版転倒・転落危険予知トレーニング教材の作成に向けたシナリオ素材を精錬していく。
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今後の研究の推進方策 |
2023年8月を目標に、転倒・転落危険場面のシナリオパターンを作成する。その後、EMR ACTUSに組み込んだPerceive Checkerに適用し、看護学生版転倒・転落危険予知トレーニング教材を作成する。 2024年3月を目標に、作成した教材を用いて転倒・転落危険予知トレーニングを実施し、教材の有効性を検討する。
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