研究課題/領域番号 |
19K10945
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58060:臨床看護学関連
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研究機関 | 熊本保健科学大学 (2021-2022) 福岡看護大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
吉田 理恵 熊本保健科学大学, 保健科学部, 講師 (40807038)
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研究分担者 |
岩本 利恵 福岡看護大学, 看護学部, 教授 (20638530)
晴佐久 悟 福岡看護大学, 看護学部, 教授 (10330961)
大城 知子 福岡看護大学, 看護学部, 准教授 (50461538)
有永 麻里 福岡看護大学, 看護学部, 助手 (80846569)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 口腔ケア / 乳がん / がんサバイバー / GOHAI / 口腔内症状 / 口腔関連QOL / 乳がんサバイバー / 口腔セルフケア / 口腔関連QOL / セルフケア / 患者力 |
研究開始時の研究の概要 |
乳がんサバイバーは、ホルモン療法の副作用による歯肉炎や骨転移による顎骨壊死の予防効果がある口腔ケアについて、関心はあるが情報が得られにくい状況にある。また、乳がんサバイバーの口腔内の状況やセルフケアに関連した研究は少なくその実態は明らかとなっていない。 そこで、本研究では乳がんサバイバーの口腔内の状況と口腔セルフケアの実態を明らかにするための調査を行い、自己の口腔の状況にあった口腔セルフケアについて、口腔内の状況を観察し判断する力や自身でケアする力(患者力)を強化し、実践の継続を目指した患者力を強化するための口腔セルフケア教育のプログラムを開発・評価、広く提供することを目指す。
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研究実績の概要 |
乳がんの治療薬であるアンスラサイクリン系抗がん薬等は口腔粘膜炎の発症率が高く、口腔内症状が退院後のQOLに影響することが近年報告されている。また、術後のリンパ浮腫はブラッシングに影響する等の要因から退院後の口腔症状の発症が推察されるが、その実態は明らかになっていない。 今回、口腔内症状、手指症状と口腔関連QOLとの関連性を明らかとするために所属する機関の倫理審査の承認後に、乳がん患者会の協力により九州、福島県の乳がん治療経験者227名に郵送法による質問紙調査を実施し88名の回答を得た。 対象者の年齢の中央値61.5(範囲37-95)、職業有48%。手指の有症率は、リンパ浮腫11.9%、手指のしびれ22.1%、手指の痛み19.0%である。治療中に生じた口内炎の消失時期は入院中39%で、1年以上口内炎ができやすいと回答したのは34.8%、口腔内乾燥と舌痛に関しては3割以上が3年以上継続して症状ができやすいと回答した。症状の有無によるGOHAI(口腔関連QOL)の差についてマン・ホイットニーU検定で分析した結果、リンパ浮腫(p=.362)、手のしびれ(p=.006)、手の痛み(p=.003)、口腔内乾燥(p=.003)、舌痛(p=.0005)、歯肉炎(p=.015)口臭(p=.040)であった。 今回、口腔関連QOLの低下への影響は、リンパ浮腫よりも手指のしびれ・痛みが強いことが示された。また、薬剤による唾液腺への影響が舌や粘膜の保護を低下させ、結果として口腔関連QOLを低下させていることが考えられる。経過として口内炎などの症状は治療後に一度消失したとしても一部の患者は口腔内環境の変化やセルフケアの不足によって症状が生じやすいことが推察される。したがって、特に手指のしびれ・痛み、口腔乾燥症のある患者には適切な口腔ケアを継続的に実施するよう専門的な支援の必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初計画していた調査に関しては、乳がん患者会の協力を得て実施した。乳がんサバイバーを対象とした研究は少ない中、口腔内症状を有する割合や症状の持続期間などを明らかとし、さらに口腔関連QOLが低下しやすいという実態を論文雑誌や学会で報告した。 本来は口腔ケアが必要な対象者に「口腔ケア」を介入する計画であったが、唾液は新型コロナウイルス感染症の感染源となることから介入研究は極めて難しい状況がある。 しかし、口腔内症状や手指症状のある対象者に必要なセフルケアとしての教育内容を検討することは可能であり意義があると考え、研究計画を変更し継続していく。
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今後の研究の推進方策 |
これまで、口腔ケアの基礎教育に関する研究について分担者として種々報告している。乳がん患者の口腔内状況に応じた患者教育の内容を検討するにあたり、研究対象者を看護師あるいは教員とすることで、看護師が教育可能な指導方法を検討しする。今年度は研究計画を立て実施し報告していきたい。
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