研究課題/領域番号 |
19K10957
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58060:臨床看護学関連
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研究機関 | 岩手医科大学 (2021-2022) 日本赤十字秋田看護大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
熊地 美枝 岩手医科大学, 看護学部, 准教授 (40320642)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 医療観察法 / 司法精神看護 / ピアサポート / リカバリー / 他害行為 / 社会復帰調整官 |
研究開始時の研究の概要 |
医療観察法における医療では、病状の改善と対象となった重大な他害行為の再発予防、社会復帰の促進が求められる。そのため、重大な他害行為や暴力、攻撃性に対する専門的アプローチに焦点をあてた研究に重点がおかれていた。しかし、精神疾患と重大な他害行為を課題にもち苦悩を抱える対象者の回復を促進するためには、医療者による専門的アプローチのみならず、対象者同士のピアサポートによる支援も必要不可欠ではないかと考える。 そこで、本研究では、これまで明らかにされてこなかった司法精神医療におけるピアサポートの様相について、対象者と支援者双方の視点から明らかにし、ピアサポートを活用した新たな援助方法の創出を試みる。
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研究実績の概要 |
医療観察法における対象者同士のピアサポートの様相を明らかにするため、入院対象者および医療観察法病棟に勤務する看護師に対して、インタビューガイドを用い、半構造化面接を実施予定であった。現在までのところ、4名の看護師のインタビューのみで、入院対象者のインタビューは、面会制限などにより、実施には至らなかった。 一方、医療観察法対象者に当初審判から処遇終了まで関わる保護観察所の社会復帰調整官のインタビューは、12名実施することができ、現在分析中である。社会復帰調整官からは、退院後の地域生活を送る中での対象者同士のピアサポート的交流が語られることが多かった。そうした交流をしている対象者の多くは、入院中に連絡先を交換しており、仲間の退院を祝う食事会をしたり、気の合う仲間で出かけたりしているようであった。交流している対象者間でお互いの対象行為の内容については詳しく知らないのではないかという社会復帰調整官の見解がある一方で、子供に対する殺人や傷害の対象行為をもつ対象者同士は、子供に対する思いや苦しさを互いに語り合い、共有しているという状況も確認できた。また、就労についてなど、現実的な生活についての情報交換は多くの交流で確認されていた。 社会復帰調整官の多くは、地域生活の中での対象者が感じる孤立感などを踏まえると、同じ境遇である対象者同士の交流は互いにとって支えとなるものとして認識していた。同時に、対象者間の交流が、一方にとっての搾取となるような強制的な関係を強いられる対象者が生じることや他者の対象行為を口外されるようなことが生じないか危惧していた。 地域生活において、対象者間での交流はあることが確認され、今後はそうした交流があることを前提として、入院中から対象者間の交流についてのアナウンスの必要性なども示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID19感染状況が大きく影響し、リクルートが遅れ、研究全体が大幅に遅れている。 社会復帰調整官を対象としたインタビューは終了することができたが、感染状況に伴い勤務状況が激務となり、看護師のインタビューは4名のみ実施で途中中断となっている。また、入院対象者のインタビューについては全く実施できていない。
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今後の研究の推進方策 |
看護師の半構造化面接については、リモートを中心とし進めていくが、今後増える協力施設の状況によっては、訪問での面接を考慮していく必要がある。 入院対象者の半構造化面接については、5類移行に伴い、施設側の感染対策フェーズの変化に期待したい。変化がない場合、施設側の許可が取れれば、施設内リモートによる半構造化面接など直接対面時間を短くすることも検討していく。しかし、施設外に向けたリモートは情報保護の観点から認められることが難しいと考えられ、施設への研究者の訪問は必須であると考える。
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