研究課題/領域番号 |
19K11132
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58080:高齢者看護学および地域看護学関連
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研究機関 | 兵庫大学 |
研究代表者 |
石井 久仁子 兵庫大学, 看護学部, 准教授 (70735886)
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研究分担者 |
中井 寿雄 金沢医科大学, 看護学部, 准教授 (10708986)
鷺野 貴子 姫路大学, 看護学部, 助教 (20759336)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 独居高齢者 / 意思決定 / 在宅生活 / ケアマネjジャー / 地域包括支援センター / エンドオブライフケア / 意思決定支援 / ケアマネジャー / 在宅 / 在宅生活継続 / 自己決定支援 / 地域包括ケア |
研究開始時の研究の概要 |
独居高齢者が、加齢等により在宅生活の継続が難しくなる前に、ケアマネジャー(以下、CM)や地域包括支援センター(以下、地域包括C)の職員と話し合いながら、今後の生活を想定して意思決定する際の、支援の指標となる項目をリスト化する。研究は以下のプロセスで実施する。 1.独居高齢者が在宅生活を中断した状況と支援の現状、CMらの考えを分析し、意思決定支援に必要な項目を抽出する。 2.1で抽出した項目から質問紙を作成してA県内のCMに配布し、独居高齢者への従来の意思決定支援の実態と課題を明らかにする。 3.高齢者自身に聞き取りを行い、在宅生活継続が困難になった場合の考えや意思などを明らかにする。
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研究実績の概要 |
日本では少子高齢化が進むと同時に独居高齢者も増加している。高齢者が要援護状態になっても住み慣れた地域で自分らしい生活を継続するためには、早期から本人の意思決定を含めた備えをしておく必要がある。 本研究の目的は、ケアマネジャー(以下、CMとする)や地域包括支援センター職員(以下、地域包括職員とする)を対象に、独居高齢者が在宅生活の中断を余儀なくされた状況と、独居高齢者に対する意思決定支援の現状を明らかにすることによって課題を整理することである。そのうえで独居高齢者の在宅生活の継続が困難になる前に、本人と援助者(専門職)がそれぞれに備えができるよう、意思決定支援に必要な支援項目をリスト化する。 先行研究を参考にオリジナルの自記式質問紙を作成し、全国の地域包括職員と居宅介護支援事業者のCM各1000人を対象にweb上でアンケートを実施した。2022年度は先にCMの結果を分析した。CMは241人から回収し、うち211人を分析対象とした。分析の結果、独居高齢者の意思を十分に確認できない経験に関連する因子として、金銭管理や火元の管理などの遂行能力(オッズ比[OR]:3.38、95%信頼区間[CI]:1.39-8.22)と認知機能の低下(OR:2.89、95%CI:1.06-7.83)の2つが抽出された。独居高齢者の将来の生活方向の意思決定支援においては日常生活の遂行能力を評価することが重要だが、CMが高齢者の特性を理解したうえで、認知機能を評価することがより重要であると考える。そのため高齢者を担当するCMのモニタリングに日常生活の遂行能力と相対的な認知機能の評価を確実に行っていくことが必要であると考える。 地域包括職員の調査については、現在分析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究前半に新型コロナ感染症の影響によって高齢者支援機関の職員や独居高齢者のインタビューが困難となり、研究方法を全般的に見直す必要が生じた。また、調査対象者であるCMと地域包括職員が感染症対策に追われていることから、感染対策が軌道にのり本来業務が安定するまでの間、調査の実施を延期した。さらに、研究者自身も所属する大学内での感染症対策や保健所への応援等に追われたため、研究方法の見直しから実施までに相当の時間を要した。 研究方法はインタビュー調査を断念し、質問調査のみ実施することに変更した。2022年度にwebベースの質問調査を実施し、CMの調査結果については分析が終了して海外誌に公表した。 また、2022年度は研究者が所属する大学の看護教育において、全国的なカリキュラム変更があったため、授業や実習の構成、内容の変更に伴う調整に想定以上に時間を要した。研究に携わる時間が縮小したことで2023年度内にも終了することが困難であったため、さらに1年延長した。 現在は地域包括職員の調査結果の分析が終了し、学術誌の投稿に向けて準備を行っている。その後は調査全体の結果について報告書を作成する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、地域包括職員の調査結果の分析と詳細な解析を行って学術誌に投稿する予定である。その後、調査全体についての結果を共同研究者が運営するホームページに掲載し、調査によって得られた知見の普及を目指す。さらに紙媒体の調査報告書を作成し、調査協力者(希望者)と関連機関に配布する予定である。 本研究は、当初は独居高齢者が在宅生活の中断を余儀なくされた状況と、独居高齢者に対する意思決定支援の現状を明らかにして、独居高齢者が意思決定できる時期に備えができるよう、意思決定支援に必要な支援項目をリスト化することを計画していた。上記の学術誌での公表と報告書の作成と併行して、リスト化のための検討を行い、科学研究費の助成期間が終了した後も完成するまでリスト化作業を継続していく予定である。
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