研究課題/領域番号 |
19K11235
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58080:高齢者看護学および地域看護学関連
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研究機関 | 兵庫医科大学 (2023) 宝塚大学 (2022) 園田学園女子大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
加藤 泰子 兵庫医科大学, 看護学部, 准教授 (70510866)
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研究分担者 |
九津見 雅美 大阪公立大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (60549583)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | レビー小体型認知症 / レビー小体病 / 認知症 / 認知機能変動 / 認知機能 / 観察 / 観察指標 / 臨床的観察 / 注意機能 / 覚醒機能 / ケア / 高齢者 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、レビー小体型認知症(DLB)の中核的特徴である認知機能変動に対するケア方法を、認知機能変動の観察とDLB本人・家族・介護医療専門職者(以下、専門職者とする)へのインタビューから明らかにすることである。認知機能変動へのケアは、現在、症状の評価の難しさから専門職者であっても、症状の実態すら把握しきれない状況にあり、変動に対して受け身で対応するしかない。そこで本研究では、認知機能変動を意図的に観察する方法の開発に加え、DLB本人・家族・専門職者の認知機能変動に関する経験・実践に注目して検討することで、認知機能変動へのケアに示唆を与え、かつ認知症看護の新たな視点を提示する研究を目指す。
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研究実績の概要 |
レビー小体型認知症の中核的特徴の1つである認知機能変動は、物分かりがよく意識がはっきりしている時と、反応が乏しくぼんやりとしている時があり、変動は数分から数時間続く、ときには数週~数ヶ月におよぶこともある症状である(池田、2009)。しかし、認知機能変動の頻度やパターンは不明で、かつ症状が多様で複雑であるがゆえに、その病態を把握するのは困難とされている。そこで研究者らは、レビー小体型認知症本人の体験を基に、この認知機能変動のパターンを解明することに取り組んできた。2023年度は研究者らが作成した認知機能変動観察指標を医療・介護現場で活用できるよう改訂することに取り組んだ。研究方法は、過去にレビー小体型認知症の看護経験のある認知症看護のスペシャリストである認知症看護認定看護師と老人看護専門看護師を対象に、現行の認知機能変動観察指標を提示し、臨床現場で誰でも活用できる形への改訂に向けて課題の抽出をフォーカスグループインタビューを用いて行った。その結果、4つの観察項目の観察においては、並列に実施するのではなく、段階的に観察すること、また言語化しにくい認知の変動の状態をイラストを用いて評価する点などを加え、新たに認知機能変動を観察するシートを開発した。 前年度の研究では、研究者や認知症看護の専門職によって、レビー小体型認知症に出現する認知機能変動を観察し、そのパターンを示すことが出来ることを明らかにしたが、臨床現場に研究成果を還元するためには、専門的知識がない人でも簡便に使用できる認知機能変動の観察指標にすることが課題であった。今年度、その課題である誰にでもできる形への改訂にまで到達したことで、認知機能変動のケア方法に導入できると考えられる。2024年度は2023年度の研究結果を学会発表・論文投稿をすすめ、さらなる研究内容の発展に努める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2022年の段階で認知機能変動観察指標の作成と作成した認知機能変動観察指標を用いた臨床的観察は実施できた。その結果、作成した認知機能変動観察指標を用いたレビー小多型認知症の人の観察によって、個々の認知機能変動について、客観的指標を用いて説明することが可能となり、個々の変動について、変動の方向・変動の幅、変動の頻度を用いて特徴を示すことができ、変動のタイプを示すことまで到達でできた。研究環境において実施できた結果であり、臨床への応用については、簡便さ等の課題が残っていた。したがって、ケア方法の提案に向けては、さらにもう一段階の研究が必要となったこと、またその研究方法の検討や研究対象者のリクルートにも時間を要し、予定していた研究時期よりも大幅な遅れとなり、研究結果の報告まで次年度1年間の延長時間が必要となった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、2023年度に取り組んだ認知機能変動観察指標の改訂版について学会発表・論文投稿に取り組む。同時に、改訂版の観察指標を、医療・介護現場で活用できる仕組みを整える。レビー小体型認知症の中核的特徴である認知機能変動であるが、アルツハイマー型認知症や血管性認知症でも認知機能変動は出現されるといわれていることから、今後は、レビー小体型認知症に限定せず、他の認知症疾患にも活用することを検討している。これまで、医療・介護の現場において、ケア提供者が認知機能変動を経時的・客観的に観察した結果は示されていないことから、認知機能変動指標を用いて、認知症原因疾患別の認知機能変動の特徴が抽出できれば、レビー小体型認知症のケア方法の構築に留まらず、認知症全般のケア方法の提案につながると考えられる。
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