研究課題/領域番号 |
19K11315
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
山辻 知樹 川崎医科大学, 医学部, 教授 (40379730)
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研究分担者 |
石田 尚正 川崎医科大学, 医学部, 講師 (80805896)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | サルコペニア / 消化器がん / リハビリテーション / 栄養療法 / 消化管がん / 体成分分析 / BIA法 / 周術期管理 / 理学療法 |
研究開始時の研究の概要 |
高齢者や外科手術後の患者で見られる筋肉量と筋力の低下、それに伴う身体機能低下の状態はサルコペニアと呼ばれ、近年注目されている。特にがん患者のサルコペニアは外科手術や化学療法による合併症やがんの予後に大きな影響を与えると考えられている。治療中の筋肉量や脂肪などの体成分変化は臓器、病態、手術手技、薬剤、水分量や栄養管理等の様々な因子が関係している。本研究は消化管がん患者を対象にBIA(Bioelectrical Impedance Analysis)法を用いた新しい体成分分析装置InBodyを用いて非侵襲的に筋肉量を含む体成分分析を行い、臨床的に安全かつ有用な周術期管理の指標となり得るかを検討する。
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研究実績の概要 |
サルコペニアは進行性かつ全身的な筋肉量の低下に伴う筋力や身体機能の低下状態を示すが、単に加齢に伴う現象でなく、様々な要因によって引き起こされる。消化器がん患者のサルコペニアは外科治療後の独立した予後増悪因子であることが報告されている。 本研究は、サルコペニアをもつ消化器がん患者に対して、適切な栄養療法とリハビリテーション、運動療法を行うことにより、周術期合併症を予防しQOLを改善し、がんの予後改善を目指す。 食道がんや胃がんなどの消化器がん患者を対象にBIA法を用いた体成分分析装置InBodyを用いて非侵襲的に筋肉量を含む体成分分析を行い、安全かつ有用な周術期管理の指標となり得るかを検討した。 初診時にサルコペニアと診断された成人上部消化管がん患者に対して、サルコペニアの程度を周術期に評価し、合併症・病期などの記録を行い、理学療法士による周術期リハビリテーション介入を行い、NST(栄養サポートチーム)の介入により、適切な栄養管理を行った。 本実績報告書作成時点において、消化器がん患者30例(平均72.2歳,食道がん20例、胃がん10例)に対して評価を行った。消化器がん患者の術後平均SMI(骨格筋量指標)は術前に比して減少していることが明らかになり、手術侵襲によるサルコペニアの増悪が推定された。術後栄養療法およびリハビリテーション介入による骨格筋量改善評価、QOLおよび合併症評価を行った。現在、術前リハビリテーションプログラムと栄養管理指標についての検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
InBodyを用いて食道がんや胃がんをはじめとした上部消化器がん術前患者に対して体成分測定を行い、理学療法士による術前リハビリテーションや管理栄養士に よる栄養評価も行った。リハビリテーションセンターで握力や歩行スピードも同時に測定し, サルコペニアの評価を開始し、現在患者への適切なインフォームドコンセントを行い、初期評価を行った。実際の体組成やサルコペニア評価に関わる測定を安全に行う環境整備を継続した。 2020年には、新型コロナウイルス感染蔓延のため、ほぼ全ての対面診察および外来リハビリテーションが制限されることとなった。感染防御対策を慎重に行うため、サルコペニア評価に必須の体組成測定や患者指導に多くの人的資源と時間を割く必要があり、症例新規登録が大幅に遅延した。1名の消化器がん術前患者に研究参加の同意を得た。内訳は食道がん4名、胃がん1名、男性:4名、女性:1名、平均年齢:80.8±5.4歳である。外来においてサルコペニア基準である筋量、筋力、身体機能低下を評価したところ、サルコペニアと診断された患者は2名であった。術前外来にてリハビリテーションを導入し、術前に介入効果について再評価を行った。研究②サルコペニア改善を目的にした在宅リモートリハビリテーションプログラムの導入:術前にリモート形式のセルフエクササイズの介入期間を2週以上確保できる患者については、在宅でのリハビリテーションを実施し、患者との双方向対話によってフィードバックを行い、術前運動プログラムおよびその運動の安全性および忍容性の解析を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
報告書作成時点で、新型コロナウイルス蔓延に伴う感染予防対策は大幅に緩和され、今後は外来における対面式のリハビリテーションや外来診察や、サルコペニアの評価も安全に進めることができるようになると思われる。さらなる症例の蓄積と共に、遅れていた評価項目の再検討及び予後評価も進めている。 現在安全な在宅リハビリテーションの方策を検討する時代の到来を踏まえて、インターネットを用いた在宅リハビリテーションプログラムの導入を検討している。
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