研究課題/領域番号 |
19K11320
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
上村 智子 信州大学, 学術研究院保健学系, 教授 (80280204)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 大腿骨骨折 / せん妄 / 認知障害 / 歩行 / 予後 / 認知症 / 機能予後 |
研究開始時の研究の概要 |
大腿骨近位部骨折術後の高齢患者の機能予後に認知障害が影響することがわかっている.しかし,骨折前と周術期の障害を分けて評価する方法は未確立である.本研究では,患者の骨折前の状態を家族などへの聴取に基づいて評価することで,両者を分けて評価し,性別,併存疾患,術式,手術までの期間,合併症,入院期間など他の要因を加味して,術後6ヶ月後の機能予後への認知障害の影響を回帰モデルを作成し,探索的に検討する.
|
研究実績の概要 |
本研究では,80歳以上の大腿骨骨折患者における骨折前の認知障害重症度と術後せん妄の歩行回復への影響を検討することを目的として,前向き観察研究で術後1年間の追跡を行った. Barthel Index(BI)歩行スコアを骨折前と術後1,3,6,12ヵ月で評価した.各時点の点数から骨折前の点数を引いたものを歩行回復の変数とした.認知障害重症度は地域在住高齢者のための認知症評価であるDASC-21(Dementia Assessment Sheet for the Community-based Care System)で,せん妄はCAM(Confusion Assessment Method)で評価し,各々が術後1ヵ月及び12ヵ月までの回復に及ぼす影響を検討した.解析には,線形重回帰モデルと線形混合効果モデルを用いた. BI歩行スコアは,1,3,6,12ヵ月後において,それぞれ26.8%,34.4%,33.0%,30.4%の患者で骨折前と同じか改善した.この期間中に10例(2.8%)が転倒に関連した再骨折を起こし,20例(5.6%)が再入院し,43例(12.1%)が死亡した.DASC-21による認知障害重症度は,術後1ヵ月及び12ヵ月の回復に有意に影響したが(Stdβ=-0.39[p<0.0001],Stdβ=-0.37[p<0.0001]),せん妄は影響しなかった.術後12ヵ月までの回復に影響する他の変数には,骨折前BI歩行スコア,MMSEスコア,年齢,骨折の種類,居住地,時間が含まれた. 本研究の結果によれば,術後の歩行回復は,死亡などの不良転帰の影響を除くと,骨折前の認知障害重症度に影響され,せん妄自体が調節変数でない可能性がある.この結果は,骨折前の認知障害重症度に基づいた治療計画の重要性を強調し,DASC-21のような評価が,その計画に有用であることを示した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の影響で,研究の開始が遅れたため
|
今後の研究の推進方策 |
データ収集は完了しているため,異なる視点で分析を行い,さらなる成果発表につなげる予定である
|