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オノマトペの言語処理促進作用の神経生理学的基盤の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K11322
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分59010:リハビリテーション科学関連
研究機関神戸大学

研究代表者

今井 絵美子  神戸大学, 保健学研究科, 保健学研究員 (20827589)

研究分担者 片桐 祥雅  東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 上席研究員 (60462876)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
キーワードオノマトペ / 心象 / エミュレーション / 失語症 / 言語促進 / 脳波 / 深部脳活動 / 背側前部帯状回 / 言語処理 / ガンマ波パワー / 身体化認知 / 身体性認知 / 連想 / 共起ネットワーク / 前部帯状回 / アルファ波パワー / 音声解析 / 深部脳機能 / ヒューリスティックス / 言語リハビリテーション
研究開始時の研究の概要

失語症に対する言語リハビリテーションにおいて、日本語オノマトペによる発話促進効果が着目されつつある。しかし、オノマトペの神経作用としては音声と環境音の識別に関与する脳領域の関与が明らかにされているのみであり、オノマトペがなぜ言葉の回復を促進するかは未だ明らかではない。一方、オノマトペは心象やそれに付随した情動と強く結びついており、言葉と心象を架橋する役割を果たしていると推察されている。
本研究は、背側前部帯状回(dACC)の情動・認知制御作用に着目し、オノマトペ刺激によるdACC活動度のダイナミクスを脳波から求め、オノマトペが心象にアクセスするのに有効な手段であることを検証することを目的とする。

研究実績の概要

本研究は、オノマトペと心象アクセスに係る背側前部帯状回(dACC)に代表される深部脳機能のダイナミックな活動を解析し、オノマトペの言語処理促進作用の神経生理学的基盤を解明することを目的とする。さらに、オノマトペのもつ言語処理促進キューとしての作用に着目し、心象アクセスに有効な手段であることを検証することを目的とする。
本年度は、健常ボランティアを対象に絵を見て発話する課題中の脳波を計測しdACCのダイナミクスを反映する後頭部のアルファ波強度(事象関連深部脳活動、ER-DBA)を分析した。その結果、動詞よりもオノマトペを産生のほうがER-DBAの脱同期が深く心象アクセスが増強されることを見出した。また、オノマトペ産生中の思考に関する被験者へのインタビューから、動詞よりもオノマトペ産生時により強くエピソードを回顧していたことが明らかとなった。以上の結果から、オノマトペはエピソード記憶を基に心象エミュレーションを推進することが示唆された。
次にオノマトペ活用の有効性を明らかにするため、同プロトコルで失語症当事者に対して語産生課題を実施した。その結果、オノマトペを活用することで産生困難であった動詞の産生を誘導できることを確認した。さらに、誘導する過程において刺激間隔の延長や発話の促しといったキューの活用も必要であったことから、失語症重症度への配慮を含めて言語リハビリテーションへの適用条件をパーソナライズする必要があることを明らかにした。
認知は知識の活用であり、心象のエミュレーションはその具体的な方法である。オノマトペは心象と言葉をつなぐエミュレーションを促進することで、言語認知に資する。本研究は、こうしたオノマトペの活用が失語症の症状を改善する手がかりとなる神経基盤を初めて明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

感染防止対策に影響されて実施が遅延していた語産生課題を実施することができたが、十分な被験者数確保には至らず、統計学的有意を得て試験を完了するまでには至らなかった。さらに、失語症のある人を対象にする課題条件の調整に時間を要している。

今後の研究の推進方策

背側前部帯状回の活動を反映する事象関連深部脳活動と事象関連電位を解析手法とし、心象アクセスの神経生理学的基盤を明らかにするため、オノマトペ産生課題、および、状況絵を説明するオノマトペを含む言葉の自由連想課題中の脳波計測試験を被験者数を拡大して実施する。オマトペの心象アクセスへの効果は想起される語の解析で実証可能であると考えられるため、連想される語の共起ネットワーク分析を併せて行い、心象アクセスに係る脳機能ネットワークの全容解明をする。

報告書

(5件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 2019 実施状況報告書
  • 研究成果

    (11件)

すべて 2022 2021 2019

すべて 学会発表 (11件)

  • [学会発表] 認知制御課題遂行中に出現する同期的γ波の意義2022

    • 著者名/発表者名
      今井絵美子、片桐祥雅
    • 学会等名
      第24回日本ヒト脳機能マッピング学会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] サイモン課題におけるルールベース意思決定メカニズムの検証2022

    • 著者名/発表者名
      大谷啓尊、片桐祥雅、今井絵美子、古和久朋
    • 学会等名
      第24回日本ヒト脳機能マッピング学会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 外部リズムに対する同期タッピングにおける背側前部帯状回の役割2022

    • 著者名/発表者名
      植村真帆、今井絵美子、川原靖弘、望月圭子、古和久朋、小作浩美、片桐祥雅
    • 学会等名
      第24回日本ヒト脳機能マッピング学会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 事象関連深部脳活動法によるEriksen-Franker-like Go/Nogoタスク遂行の神経科学基盤2022

    • 著者名/発表者名
      川原靖弘、野口なつ美、今井絵美子、植村真帆、大谷啓尊、望月圭子、片桐祥雅
    • 学会等名
      第24回日本ヒト脳機能マッピング学会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 食刺激が認知機能に及ぼす影響:事象関連深部脳活動法による神経基盤の解明2022

    • 著者名/発表者名
      野口なつ美、植村真帆、川原靖弘、今井絵美子、望月圭子、片桐祥雅
    • 学会等名
      第24回日本ヒト脳機能マッピング学会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 表情による表情による感情認知と共感性醸成のメカニズムの深部脳活動法による解明2022

    • 著者名/発表者名
      杉浦朋伽、古崎未来、望月圭子、川原靖弘、野口なつ美、植村真帆、今井絵美子、小作浩美、片桐祥雅
    • 学会等名
      第24回日本ヒト脳機能マッピング学会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 日本語オノマトペから起因される心象の形成における背側前部帯状回の役割2021

    • 著者名/発表者名
      今井絵美子,片桐祥雅
    • 学会等名
      第23回日本ヒト脳機能マッピング学会
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] サイモン様課題における競合解消のルールベース高速認知処理モデル2021

    • 著者名/発表者名
      大谷啓尊,今井絵美子,片桐祥雅,古和久朋
    • 学会等名
      第23回日本ヒト脳機能マッピング学会
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] 共鳴構造特異的発話特徴と深部脳活動との相関2019

    • 著者名/発表者名
      今井 絵美子,片桐 祥雅
    • 学会等名
      HCGシンポジウム2019
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [学会発表] 欠落オドボール課題による外発性随意運動における深部脳活動の特徴抽出2019

    • 著者名/発表者名
      植村真帆,今井絵美子,片桐祥雅,古和久朋
    • 学会等名
      HCGシンポジウム2019
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [学会発表] 運動表出意思決定のソマティックマーカー仮説に対する一検証事例2019

    • 著者名/発表者名
      大谷 啓尊,片桐 祥雅,今井 絵美子,古和 久朋
    • 学会等名
      HCGシンポジウム2019
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書

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公開日: 2019-04-18   更新日: 2024-12-25  

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