研究課題/領域番号 |
19K11327
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
西原 賢 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (80336495)
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研究分担者 |
河合 恒 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 専門副部長 (50339727)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 地域在住高齢者 / 運動機能 / 超音波画像 / 筋輝度 / 筋厚 / 高齢者 / サルコペニア / フレイル / 骨格筋の超音波画像 |
研究開始時の研究の概要 |
高齢期には筋量や身体機能が低下した「サルコペニア」や、生活機能低下である「フレイル」への対策が重要であるとして、近年、歩行速度など簡易的な測定指標を用いた診断が行われている。しかし、このように診断されたサルコペニアやフレイルがどのような骨格筋機能の低下によって引き起こされるのか詳細は不明である。 それを解決するために、地域高齢者のコホートにおいてサルコペニアやフレイルの診断基準に含まれる骨格筋量、歩行速度、握力、基本チェックリストなどの指標を測定し、対象者を群分けし、各群から超音波画像、筋電図計測協力者を募り、下肢の超音波画像から筋厚、筋輝度、筋電図から筋線維、神経の伝導速度分布を測定する。
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研究実績の概要 |
お達者検診の計画・立案:包括的生活機能調査のコホート研究として「お達者健診」を計画して、高齢者の老年症候群など健康アウトカムの評価および予測指標の開発のための運営方法を検討した。65歳以上の板橋区在住高齢者約2,000名を対象として、郵送による案内を送付することとした。 お達者検診の実施:呼びかけに応じてくれた638人に対して、普段の生活や栄養接収、心理状況などのアンケート調査を実施した。測定会は、2023年9月22日~10月2日の11日間測定会場に来場いただいて実施した。測定項目としては、血圧、体重、体組成、運動機能、スパイロメトリによる呼吸機能、お薬手帳の情報入手、歯科検診、うつ検査および認知機能検査等とした。 これらの得られた測定結果を集計して、高齢者の運動機能と健康への関連性について分析中である。抽出したデータは、握力、膝伸展筋力、5m通常歩行時間と最大歩行時間、TUGテスト、大腿四頭筋厚および筋輝度を中心として、他の測定項目との関係性について調べた。結果として、男女ともに筋厚と運動機能との間で有意な相関があった。筋厚と筋輝度との関係では、男性では中間広筋以外では有意な相関はなかったが、女性ではすべての筋で高い相関があった。この傾向は偏相関により、加齢とともに変化する要素を除去しても女性は筋厚と筋輝度間でより有意な相関があった。筋輝度は筋質の尺度として用いることができる。筋厚と筋輝度との関係には性差があり、女性は男性と比較して筋の委縮に伴い筋内の結合組織が増加して筋輝度が上昇することが考えられ、筋質の変化がより著明であることが分かった。女性高齢者は男性高齢者と比較して運動機能の低下時の筋質の変化がより著明であることを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の当初計画では、板橋区の「お達者検診」を実施後これらの参加者から「運動機能測定」を実施する予定であった。2020年度に実施した「お達者検診」の参加者からする予定であった。行われていた「お達者検診」の参加協力者から、年齢や虚弱度にわけて呼び掛けて80人前後の協力者を測定会場に来ていただくこととなっていたが、COVID-19による緊急事態宣言により実施の直前に取りやめを決定した。その後も再度計画を立てて実施の予定であったが、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置により、再度の実施直前の取りやめとなっていたので、しばらく予算の執行も中止していた。これらの時期には対象者を呼びかける代わりに超音波画像分析技術に開発や測定予定に筋群の適切な検出位置の検討および誘発筋電図による神経機能検査装置の開発にあてていた。 「運動機能測定」ができるようになり現在データの分析ができるようになってきた。
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今後の研究の推進方策 |
加齢により筋委縮が進むと筋力が低下して、運動機能にも影響される。筋量の計測で運動機能を推定する試みがされてきた。しかし、筋内で筋収縮と関係ない結合組織が増えることで、筋質の低下が起きると、筋量の計測だけでは運動機能の低下を見逃すこともあると考えられる。これを確かめるためには、筋量、筋質および運動機能との関係性の理解が重要である。 そこで、高齢者の超音波画像から計測した筋委縮による筋厚の変化が運動機能や筋輝度とどのように関係するかを明らかにすることを目的として本研究を進める。地域在住高齢者の大腿四頭筋を構成する大腿直筋、中間広筋、外側広筋および内側広筋の4つの筋の画像から筋厚と筋輝度を計測する。計測したデータは男女に分けて筋厚と、歩行や筋力などの運動機能、さらに筋輝度との相関を分析する。年齢を制御変数とした偏相関も算出する。 男性と女性とでは加齢による運動機能の変化が異なり、高齢期の生活機能を維持改善するためには、性別によるそれぞれの対策を考えることが望ましい。本研究ではそのためのとっかかりを模索していく。
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