研究課題/領域番号 |
19K11437
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
飯野 要一 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (50345063)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 関節運動協調 / 冗長性 / 投動作 / 運動の協調 / 投球動作 / 正確性 / 運動計画 / ボール投げ / 協調 / 関節運動 / 運動制御 / 打動作 / 卓球 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、投運動と卓球のストローク動作を対象として、対人競技でみられる瞬時に適切な選択をする必要のある状況において、選択の必要のない場合と比較して関節運動の協調性がどのように変化するかを実験的に明らかにする。選択肢の数の影響や動作への熟練度の影響等を検討することで、スポーツでみられるこの状況において運動の正確性を高めるための基礎的知見がえられることが期待される。
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研究実績の概要 |
冗長性のある運動課題において、遂行変数を協調的に変動させることで結果変数を安定化させていることがこれまでに示唆されている。また、協調の利用の程度は熟練者が初級者より高いことも複数の運動で示されている。本研究は複数の選択肢から瞬時に適切な運動を選択する必要がある状況において、予め決められた運動を行う場合と比較して遂行変数間の協調性がどのように変化するかを明らかにすることを目的とした。 本年度は、高速条件の投球についての分析を進めた。その結果、複数の選択肢がある場合、予め決められた的を狙う場合と比較して、2的条件では8名中5名で、3的条件では8名中6名の被験者で反応時間の増大がみられた。これらの結果は先行研究と一致する傾向であった。しかし、ボールの到達位置のバラツキには有意な差はみられなかった。また、いずれの条件でもボールリリース時の手の位置や手の速度を安定化させるために関節運動の協調を利用していたが、条件間の差はなかった。複数の選択肢がある状況において、あらかじめ決められた的を狙う場合と比較して、ボールの到達位置のバラツキに差がみられなかったことは、先行研究とは一致しない結果であった。この結果は、先行研究の動作が日常では見られない動作であったのに対して、本研究の対象動作が投運動であったことが関係している可能性がある。複数の選択肢がある場合に運動の正確性が低下するかどうかは課題依存性がある可能性を示唆しており、ある運動課題について得られた知見をほかの運動課題に適用することには慎重であるべきことを示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の想定と異なる結果が得られたため、この原因についての考察と追加実験の検討に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた結果からは、投運動において複数の選択肢がある場合において、予め的や運動の種類が決められている場合と比較して、運動の正確性が低下するわけではない可能性が示唆された。これは先行研究とは矛盾する結果である。考えられる原因としては、課題依存性があることと決められた的に対しての運動をブロック化して実施するかどうかの違いが考えられた。課題依存性については、投動作が、先行研究の動作と比較して習熟した動作であることと動作時間が長いことが関係している可能性が考えられた。今後は、課題依存性やブロック化した運動の実施が与える影響について実験的に検討する。
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