研究課題/領域番号 |
19K11512
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
藤林 真美 摂南大学, 農学部, 教授 (40599396)
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研究分担者 |
坂根 直樹 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 臨床研究企画運営部, 研究室長 (40335443)
二連木 晋輔 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 臨床研究企画運営部, 研究員 (70741156)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | ヘプシジン / 女性アスリート / 貧血 / フェリチン / 炎症 / オメガ3系脂肪酸 / スポーツ栄養 / 食事 / 鉄代謝 |
研究開始時の研究の概要 |
ヘプシジンは,生体内での酸素の運搬やさまざまな酵素反応に不可欠な鉄の存在量を制御する主要な因子で,炎症などにより過剰に産生されると貧血症状を引き起こす.本研究では,女性アスリートの経年(鍛錬期・試合期・回復期)における食事と貧血状態を調査し,ヘプシジンとの関連を明らかにすることを目的とする.さらに本研究で得られた情報を元に,女性アスリート向けの貧血予防を目指した食事支援アプリを開発,その効果について検証する.この研究により,女性アスリートの栄養分野におけるヘプシジン研究基盤を確立し,効果的な貧血対策手法の開発につなげる.
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研究実績の概要 |
2023年度は、新型コロナウィルス感染症拡大防止のため遅延していたオメガ3脂肪酸の介入研究の実施と論文執筆に取り組んだ。 鉄は、生体内での酸素の運搬やさまざまな酵素反応に不可欠なミネラルの一種である。不足すると赤血球が低下し体内への酸素供給不足を惹起するなど、鉄はアスリートのパフォーマンスに重要な役割を果たす。一方、ヘプシジンは鉄の存在量を制御する主要な因子で、炎症などにより過剰に産生されると貧血症状を引き起こす。フェリチンは細胞内で鉄と結合し、貯蔵鉄として血清鉄の維持などに貢献している。また血清鉄やフェリチンは、ヘプシジンと相関するといわれている。実際に鉄欠乏が惹起された場合は、その対処法として経口鉄摂取または静脈注射による補給が行われることが多い。しかしその副作用等を鑑みると、適切な栄養摂取により血清鉄の正常化を図れることが望ましいのではないかと考え、研究を実施している。 2023年度に実施した介入研究は、スポーツ系課外活動団体に所属する女子学生および日ごろ運動習慣のない一般女子学生に協力してもらった。対象者には8週間、オメガ3脂肪酸を含んだ市販のサプリメントを毎朝食時に摂取してもらった。サプリメント介入の前後に各1回(計2回)、血液検査と体組成測定、食事・月経調査を行い、データを取得した。血液検体からは、赤血球指標やヘプシジン値、フェリチン値の測定と共に、脂肪酸に焦点を当てた全血リピドミクスの包括的解析を行った。後者の解析により、オメガ3脂肪酸(EPAやDHA等)、オメガ6脂肪酸、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸など、22種類の脂肪酸の細胞内分布の評価が可能である。なお本研究は、摂南大学の人を対象とする研究倫理委員会より承認を受けて実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、オメガ3脂肪酸含有のサプリメント介入研究を実施した。概要は以下の通りである。対象は、女子大学生とした。対象者を無作為に介入群と対照群に分け、介入群には8週間、毎朝、オメガ3脂肪酸含有サプリメントを摂取してもらった。介入前における、介入群と対照群の年齢およびBMIに有意差はなく、血清ヘプシジン、ヘモグロビン値にも差はなかった。しかし8週間の介入後、対照群と比較して介入群に血清フェリチン値およびオメガ3指数の増加が観察された。さらに、介入群の対象者をアスリート群と非アスリート群に区分すると、アスリート群において血清フェリチン値の増加率が高かった。
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今後の研究の推進方策 |
共同研究者間の連絡体制を再構築し、これまでに収集したデータの精査と解析の迅速化を図る。そして、それらの情報を元に、女性アスリート向けの貧血予防を目指した食事支援アプリを開発し、その効果について検証する。また、一連の研究プロジェクトで得られた成果について共同研究者間で共有・討議し、国際学術会議および国際学術誌にて、速やかな公表を目指す。
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