研究課題/領域番号 |
19K11598
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59030:体育および身体教育学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
丹 信介 山口大学, 教育学部, 教授 (00179920)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 思春期 / 慢性ストレス / 運動トレーニング / ストレス性高体温 / 不安様行動 / うつ様行動 / 海馬 / 扁桃体 / 海馬扁桃体 / 不安・うつ / 大脳辺縁系 / 運動強度 |
研究開始時の研究の概要 |
不安やうつといったメンタルヘルスの悪化をもたらすような慢性的なストレスによる発育期の脳の構造的な変化、特に不安やうつとの関連が指摘されている海馬や扁桃体の構造的変化に対して、継続的な運動は、その変化を抑制する可能性がある。また、その結果、慢性的なストレスによる不安やうつといったメンタルヘルスの悪化を予防することにつながる可能性がある。本研究では、これらの点について、運動強度条件も含めて検討する。
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研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、慢性ストレス負荷による不安やうつ様行動に対する運動トレーニングの影響を中心に検討した。 思春期に相当する6週齢のラットに、慢性ストレスとして、仰臥位姿勢での拘束ストレスを1日3時間、3週間にわたって負荷した。慢性ストレス負荷単独群では、特に毎回のストレス負荷後半において、3週間の間、体温上昇の程度に差は認められなかった。一方、低強度ならびに中・高強度の運動トレーニングを併せて行わせた群では、それぞれ、その応答が減弱する傾向が認められた。したがって、これまで同様、運動トレーニングにより慢性ストレスによるストレス性高体温は軽減されることが示唆された。 昨年度同様、不安様行動の評価には高架式十字迷路試験を、うつ様行動の評価には強制水泳試験をそれぞれ用い、慢性ストレス負荷による不安やうつ様行動の変化に対する低強度および中・高強度の運動トレーニングの影響について検討した。その結果、不安様行動が低いと推察される高架式十字迷路試験におけるオープンアーム滞在時間は、慢性ストレス負荷単独群の方が、慢性ストレスを負荷しない対照群に比べて長い傾向を示した。また、低強度の運動トレーニングを併せて行わせた群でも同様の傾向を示したのに対して、中・高強度の運動トレーニングを併せて行わせた群では、そのような差は認められなかった。うつ様行動と推察される強制水泳試験における不動時間については、慢性ストレス負荷単独群に比べて、特に中・高強度の運動トレーニングを併せて行わせた群の方が長い傾向が認められた。したがって、中・高強度の運動トレーニングにより、慢性ストレス負荷による不安様行動の低下が生じなくなる可能性やうつ様行動が高まる可能性が示唆された。しかし、これらの結果には、ばらつきも多いこと、想定していた仮説とは異なるものであることから、その詳細については引き続き検討が必要であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要で述べたとおり、今年度、慢性ストレスによる不安やうつ様行動の変化に対する低強度および中・高強度の運動トレーニングの影響については、ばらつきも大きく、想定していた仮説(慢性ストレス負荷により不安様行動やうつ様行動が高まると想定)とは異なる結果が示された。このことから、実験結果の最終的なとりまとめを行うためには、もう少し詳細な検討が必要であると考えている。具体的には、今年度、高架式十字迷路試験や強制水泳試験を実施したラットの脳組織(還流固定した脳組織)を採取していることから、採取した脳組織を用いて、海馬や扁桃体の容積変化や海馬の神経新生の程度などを分析し、不安様行動やうつ様行動のばらつきや行動変化が妥当なものであるかを検討した上で、最終的なとりまとめを行うこととした。そのため、今年度、達成度としては、やや遅れていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗状況で述べたとおり、高架式十字迷路試験や強制水泳試験を実施したラットの脳組織(還流固定した脳組織)を採取していることから、採取した脳組織を用いて、海馬や扁桃体の容積変化や海馬の神経新生の程度などを分析し、不安様行動やうつ様行動のばらつきや行動変化が妥当なものであるかどうかを検討する。計上された研究費はすべて使用しており、残金は0円であるが、これまでに購入した実験試薬等が残っており、それを使用して、海馬や扁桃体の容積や海馬の神経新生の程度を評価するための組織化学的な染色等を遂行することは十分に可能である。したがって、今後、海馬や扁桃体の容積変化や海馬の神経新生の程度などの分析結果を踏まえて、これまでの実験で得られた結果を再度解釈し、最終的な結果のとりまとめを行う予定としている。
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