研究課題
基盤研究(C)
セロトニンやドーパミンなどの報償作用を持つモノアミンは、腸内細菌により産生され人の脳へ作用することが示唆されている。一方、脳内のセロトニンやドーパミンは、運動行動と関連すること報告されている。これらのことから、本研究は、腸内細菌により産生されたモノアミンが、日常の身体活動・運動行動に影響しているかを明らかにすることを目的に検討を行う。具体的には、現在進行している腸内細菌研究において血中モノアミン濃度を測定し、また身体活動・運動行動に対する意欲や運動習慣、日常身体活動を調査する。これにより腸内細菌叢-血中モノアミン濃度-身体活動・運動行動に対する意欲-身体活動・運動行動との関連を明らかにする。
本研究は、腸内細菌叢-モノアミン-運動意欲・行動誘発の経路を明らかにすることを目的に行った。成人男女111名を対象に、運動意欲や日常身体活動レベルを評価した。さらに、腸内細菌叢の構成割合および血中ドーパミン濃度を測定した。BacteroidesやSlackiaなど、いくつかの腸内細菌は、運動意欲や日常身体活動レベルと有意な関連を示した。ドーパミンを産生するBacillusは運動意欲と正の相関を示したものの、血中ドーパミンとの間に有意な相関は認められなかった。一部の腸内細菌叢と運動意欲との間に関連は認められたものの、ドーパミンを介した経路については更なる検討が必要である。
適切な身体活動量や運動の実施は、生活習慣病や認知症等の発症リスクを低下させることが報告されおり、一般的にも身体活動や運動の重要性は広く知られている。しかしながら、我々の身体活動は年々減少しており、その重要性は認知しているものの、それを“行動”として起こすことの困難さを示している。本研究のような運動の意欲や行動の誘発の基礎にある生体内メカニズムが明らかになることで、そのメカニズムに即したアプローチ方法への構築へとつながり、国民の身体活動増大や運動習慣の形成につながるものと考えられる。
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