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身体教育によって生成する「われわれ」の独自性

研究課題

研究課題/領域番号 19K11619
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分59030:体育および身体教育学関連
研究機関東海学園大学

研究代表者

石垣 健二  東海学園大学, スポーツ健康科学部, 教授 (20331530)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
キーワード身体的なわれわれ / 超越論的他者 / 身体的普遍化 / 身体的な「われわれ」 / 身体的一般化 / 身体的な主我と客我 / 道徳性の礎 / 身体的対話 / 身体的な感じ / 間身体性 / 一般化された他者 / 一般的他者 / われわれ / 認識論 / 「われわれ」 / かかわり
研究開始時の研究の概要

体育やスポーツといっ た身体教育のなかでは、いわば「身体的かかわり」が生じており、そこでは独自の「われわれ」という認識が生成していると考えられる。本研究の目的は、この「身体教育によって生成する『われわれ』の独自性」を明らかにすることである。そのために本研究では、体育やスポーツのなかでおこなわれる身体運動を通した自-他のかかわりを精緻に分析しながら、量的・質的な面からその本質に迫るとともに、そこで生成する「われわれ」の独自性について吟味する。

研究実績の概要

本研究の目的は,「身体教育によって生成する『われわれ』の独自性」を明らかにすることである。
研究5カ年目となる本年度は,教育学における超越性(超越論的他者)の議論に着想を得ながら,体育やスポーツの具体的事例から普遍的他者が生成する構造とその意味について検討した (The education for intercorporeality on school physical education: Toward to the corporeal “we”[国際スポーツ哲学会/クロアチア・スプリト]).普遍的他者とは,自己にとって特別な意味をもった他者とかかわるなかでその他者の心的態度が一挙に普遍化(抽象化)されることであり,そこでは他者に対する「理解」や「了解」が決定的に重要となる.同様にして,スポーツの具体的事例を分析するならば,そこでは身体的な「了解」によって、身体的な普遍化が生じており、身体的普遍化という事態が生成しているのである.身体的普遍化とは,特別な他者と身体運動を実践するなかで他者の「身体的な感じ」が一挙に普遍化されることである。さらにいえば、その身体的普遍化は、同時に「身体的われわれ化(連帯化)としても稼動し、そこにおいて身体的な「われわれ」が生成していることになる.身体的な「われわれ」とは,身体的な感じとしての「われわれ」という認識である. すなわち,それは「自己-他者」が「われわれ」として括られて認識されることである。学校体育のなかでは「身体的な感じ」をともなう対話が成立しており,そこでは単なる心的な「われわれ」ではなく,身体的な「われわれ」が生じているのである.因みに、それには同型的-身体的な「われわれ」と相補的なそれがあり、両者を介してより重層的な身体的な「われわれ」が成立するのである.そして、それが道徳性の礎として働くのであり,それが体育によって生成する「われわれ」の独自性となろう.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は,教育学における「超越論的他者」の概念から着想を得て,スポーツなどの運動を実践するなかでも他者の「身体的な感じ」を普遍化されることを示しながら,身体的な普遍的他者が生成すること、さらには、同時にそこでは身体的な「われわれ」も生成することを導いた.この身体的 な「われわれ」という認識は,現象学者M.メルロ=ポンティの論じる間身体性にほかならない.ただし,彼による間身体性は一般的な日常生活における間身体性が問題にされたが,運動の実践によって獲得されるところの間身体性を,体育学(スポーツ科学)は独自の領域として設定してゆく必要性があり、それが道徳性の礎として位置づけられる可能性を問うてゆくべきだろう.この内容は、国際スポーツ哲学会で発表され,外国人研究者からも肯定的な参考意見が得られている.

今後の研究の推進方策

前年度までに,体育やスポーツなどによって獲得できるわれわれとは,「身体的な感じ」としてのわれわれという認識であること,そして,それは他者の「身体的な感じ」を一般化そして普遍化すること,それらと同時にそれを「われわれ」の身体的な感じとして認識することであることを導いた.このことは,身体的な「われわれ」 が生成するメカニズムの独自性を明らかにしたということである.また,この身体的な「われわれ」が人間にとっての道徳性の礎になる可能性も示唆されることになった.
今後は,この身体的な「われわれ」がどのようにして道徳性の礎として稼動することになるのか,そのメカニズムに迫ってゆく必要があろう.したがって,今後も引き続き文献収集とその読解を中心に 研究をすすめてゆく必要がある.これまで通り哲学および心理学の文献を精読することによって,われわれという認識の本質にせまらねばならない.また、教育学や体育学の文献収集とその読解はこれまで以上に重要となるだろう.それらを継続しながら,教育や体育あるいはスポーツという具体的な状況のなかで,どのようにして「身体性-道徳性」が結びつくのかを検討・分析をしてゆかねばならない.その分析を通して,身体的な「われわれ」の独自性がより明確になると考えている.
そのためにも,引き続き関連諸学会に参加し,上記の内容について 同領域研究者に着想・構想の妥当性について評価を得たい.すでに,その成果については、 書籍の一部として執筆し始めており,それを通じてを公表したい。

報告書

(5件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 2019 実施状況報告書
  • 研究成果

    (12件)

すべて 2023 2022 2021 2020 2019 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うちオープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件) 図書 (1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] IAPS(国際スポーツ哲学会)Penn State2022 への参加:パンデミックを乗り越えて2023

    • 著者名/発表者名
      石垣健二
    • 雑誌名

      体育・スポーツ哲学研究

      巻: 45 号: 2 ページ: 135-138

    • DOI

      10.9772/jpspe.45.2_135

    • ISSN
      0915-5104, 1884-4553
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] Uniqueness of "us" created by physical education2022

    • 著者名/発表者名
      Kenji Ishigaki
    • 雑誌名

      Impact

      巻: 2022 号: 5 ページ: 26-27

    • DOI

      10.21820/23987073.2022.5.26

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 「身体的対話」は言葉の次元を越える!?2020

    • 著者名/発表者名
      石垣健二
    • 雑誌名

      体育科教育

      巻: 68-10 ページ: 16-20

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] The education for intercorporeality on school physical education: Toward to the corporeal “we”2023

    • 著者名/発表者名
      Kenji Ishigaki, Takuya Sakamoto
    • 学会等名
      International association for the philosophy of sport
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] School physical education as the education for intercorporeality: An investigation into “the corporeal generalized other” and the corporeal “we”2022

    • 著者名/発表者名
      Kenji Ishigaki・Takayuki Hata
    • 学会等名
      The 49th annual conference of the international association for the philosophy of sport
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 身体的な「われわれ」の獲得としての学校体育:『身体教育と間身体性―道徳性の礎として―』(2020)概要とその周辺2021

    • 著者名/発表者名
      石垣健二
    • 学会等名
      日本体育学会体育哲学研究領域定例研究会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] School Physical Education as Cultivation of Intercorporeality: Phenomenological Methods and Expansion toward the Study for Physical Education2021

    • 著者名/発表者名
      Kenji ISHIGAKI
    • 学会等名
      2021Taiwan International Conference of Sport Philosophy
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 体操における“かかわり”について考える―「身体的対話」「身体的な感じ」という観点から―2019

    • 著者名/発表者名
      石垣健二
    • 学会等名
      日本体操学会第19回大会:シンポジウム
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 「仲間とともに運動の楽しさや喜びを味わう体育授業の創造」について2019

    • 著者名/発表者名
      石垣健二
    • 学会等名
      岐阜県小中学校教育研究会:小学校体育科研究部会夏季ゼミナール
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [図書] 身体教育と間身体性:道徳性の礎として2020

    • 著者名/発表者名
      石垣健二
    • 総ページ数
      429
    • 出版者
      不昧堂出版
    • ISBN
      9784829305171
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [備考] Uniqueness of "us" created by physical education

    • URL

      https://www.ingentaconnect.com/contentone/sil/impact/2022/00002022/00000005/art00010

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [備考] 台湾運動哲学会

    • URL

      https://fdf227b1-1192-4394-9819-69f456cba970.filesusr.com/ugd/d780cc_8e5062a4f0a3478fad74e4faa17da5d9.pdf

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2019-04-18   更新日: 2024-12-25  

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