研究課題/領域番号 |
19K11688
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 神奈川県立保健福祉大学 (2022-2023) 東京大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
村越 智 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (10647407)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 糖質制限高脂肪食 / 腸管虚血再灌流 / 侵襲 / サイトカイン / アディポカイン / 一酸化窒素 / NF-κB / 炎症性サイトカイン / 腸管リンパ装置 / 腸内細菌叢 |
研究開始時の研究の概要 |
糖質制限高脂肪食を基本とする食習慣が広がりつつあるが、長期摂取が侵襲時の生体に好影響をあたえるのか、悪影響をもたらすのかは明確になっていない。 研究代表者らは、動物実験モデルを用いた研究にて、長期間の糖質制限高脂肪食の摂取が普通食に比べて侵襲時の生体に有利に働くことを示唆する結果を得た。この動物実験モデルを用いて、糖質制限高脂肪食がどのような機序で生体侵襲時の反応を修飾しているのかを探索する。 本研究結果は長期の糖質制限高脂肪食摂取者の周術期や重症外傷管理をより適切で安全なものへと導く基盤となる。さらには、侵襲時の生体反応改善効果がより高まる糖質制限高脂肪食の開発へと展開しうる可能性をもつ。
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研究実績の概要 |
糖質制限高脂肪食を基本とする食習慣が手術や重症外傷などの侵襲時の生体反応にどのような影響を及ぼすのかは明らかではない。一方、研究代表者らの研究では長期間の糖質制限高脂肪食の摂取が普通食摂取に比較して、侵襲を受けた時の生体機能維持に好影響をもたらすことを示唆する結果を得ている。この結果を踏まえ、糖質制限高脂肪食の摂取が侵襲時の生体反応をどのように修飾し生体機能維持に好影響を与えるのかについて、その機序探索のための基礎研究を施行した。 手術侵襲モデルや重症外傷モデルとして、一般的なマウス腸管虚血再灌流モデルを使用した。また、糖質制限高脂肪食(脂質60%、炭水化物21%)および普通食(脂質16%、炭水化物65%)をマウスにそれぞれ摂餌させた栄養管理モデルを用いて研究を遂行した。 ここまでの研究で、糖質制限高脂肪食摂取が生体侵襲時の①循環動態維持に有用であること、②腸管組織保護作用があることを明らかにできている。さらに、腸管組織保護作用の機序として、一酸化窒素(NO)活性、炎症性・抗炎症性サイトカインのバランスおよび抗炎症性アディポカインであるアディポネクチンレベルといった3つの因子の修飾による可能性が示唆された。また、糖質制限高脂肪食摂取群の小腸組織中のNF-κB p65の活性化が抑制されているのが示唆されたが、細胞内シグナル伝達経路がどのように修飾されてNF-κB p65の活性が抑制されているのかはまだ明らかにできていない。 糖質制限高脂肪食は侵襲時には腸管粘膜保護作用効果により生体反応を修飾すること、そしてそのメカニズムの一端も明らかにできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウス栄養管理モデルおよび侵襲モデルを用いて、糖質制限高脂肪食摂取が生体侵襲時において腸管組織保護作用効果を持ち、その機序の一部を推測できる実験結果を得た。しかしながら、生体反応の修飾に腸内細菌叢が関連しているかを評価するために予定していた、糞便内細菌集団の解析は実行できていない。
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今後の研究の推進方策 |
腸管組織保護作用についてはサイトカイン環境の修飾あるいは組織保護タンパク質との関連に着目してさらに機序解明を推進する。 生体反応の修飾に腸内細菌叢が関連しているかどうかを明らかにするため、侵襲の前後での腸内細菌叢の変化の有無を比較検討し実験・解析を進める。
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