研究課題/領域番号 |
19K11729
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 明治国際医療大学 |
研究代表者 |
鶴 浩幸 明治国際医療大学, 鍼灸学部, 准教授 (10330044)
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研究期間 (年度) |
2022-01-04 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 耳鳴 / 鍼 / 経穴 / 東洋医学 / 鍼医学 / 体性感覚刺激 / 耳鳴反応点 / セルフケア / 自覚的耳鳴 / てい鍼 / 触圧刺激 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は多くの国民が悩んでいる自覚的耳鳴の新しい治療法の研究基盤を確立するために行う。 申請者は静かな環境下で安定して明確に聞こえる耳鳴に対して、顔面部や頚部の自動運動や経穴への圧刺激、通電刺激が耳鳴を修飾、軽減すること、耳鳴の大きさの軽減では自動運動よりも経穴への圧刺激や通電刺激が効果的であり、完骨穴を刺激した時の効果が大きいこと、刺入深度が4 mm、1.5 mm、0 mmの経穴への各鍼刺激が耳鳴を軽減、消失させる場合のあることなどを見出した。指頭での圧刺激を用いて効果的な刺激部位を簡便に検出できることもわかった。 本研究では上記結果を元に簡便で安全、快適で効果的な非侵襲的治療法を更に検討する。
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研究実績の概要 |
本研究は自覚的耳鳴の新治療法の研究基盤確立のために行った。 研究1は環境音33dB以下の部屋で耳栓とイヤーマフ装着後に安定した明確な耳鳴を感じる、健康成人ボランティア7名(平均年齢23歳)を対象とした。対象者は次の介入による耳鳴の大きさの変化が検討された。刺激1:頚部5ヶ所の経穴などに痛みがない程度の指頭による圧刺激を約45秒間行って変化を確認後、刺激2:刺激1により耳鳴が変化した部位(耳鳴反応点)に1カ所ずつ、テイ鍼刺激を約60秒間、刺激3:刺激1での耳鳴反応点に非侵襲的鍼用器具貼付による刺激を約60秒間行なった。Visual Analogue Scale(VAS)や標準耳鳴検査法1993の耳鳴の自覚的表現に基づいて作成した評価表により変化を検討した。刺激1では6例が変化し、刺激2では全例が軽減、刺激3では4例が軽減した。刺激1で変化した場合や刺激2では有意に軽減した(p<0.05)。刺激3でも軽減したが有意差はなかった(p=0.059)。 研究2では手の経穴6箇所に刺激部位を変更した(研究手法は上記同様)。刺激1では7例中7例が変化、刺激2では6例が軽減、刺激3では3例が軽減した。刺激1で変化した場合や刺激2では有意に大きさが軽減した(p<0.01)。刺激3でも軽減したが有意差はなかった(p=0.08)。 研究3では足の経穴6箇所に刺激部位を変更した(手法は上記同様)。刺激1では3例中3例で軽減、刺激2と刺激3では各々2例で軽減した。研究3ではさらに4例を追加予定である。 頚部や手部、足部などの経穴(耳鳴反応点)への圧刺激やテイ鍼・非侵襲的鍼用器具などでの触圧刺激により、耳鳴が軽減する場合のあることがわかった。頚部だけでなく手部や足部などにも耳鳴反応点となり得る経穴が存在し、かつ、指頭での圧刺激の応用により、耳鳴の大きさの軽減に有効な刺激部位を簡便に検出できることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在はおおむね順調に進展している。しかしながら、研究再開当初(ポルトガルでの3年数ヶ月に渡る仕事を兼ねた長期留学研修を完遂し、2022年5月中旬に日本に帰国、研究を再開した)、海外での長期滞在からの帰国に伴った自主隔離や日本における新たな居住場所の確保、学内(職場内)での引っ越し、新たな担当授業やその他の新たな業務などへの対応、研究場所の確保、コロナへの対応、などにかなりの時間を要したため、全体としては研究の進捗がやや遅れた。この研究再開当初の研究の進展の遅れが、現在にも影響しているように感じられる。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、令和5年度に実施した研究3の対象者数をあと4例を目処に増やす。 加えて、研究4として肺兪・心兪・肝兪・脾兪・腎兪(背部)、研究5として中府・章門・巨闕・京門・期門(胸腹部)、 などの経穴に対する鍼医学的触圧刺激(非侵襲的鍼刺激)の効果について検討する(刺激部位を背部や胸腹部にも求める)。指頭による圧刺激によって耳鳴の大きさが軽減した部位に、「テイ鍼または非侵襲的鍼用器具の貼付」による触圧刺激を行う。圧刺激、テイ鍼刺激および非侵襲的鍼用器具の貼付による(触圧)刺激法は研究1や研究2と同様である。耳鳴の大きさの評価法(研究手法)も研究1および研究2と同様とする。耳鳴の大きさが変化した場合の各介入前後の値を統計学的手法(ウィルコクソンの符号付順位検定または対応のあるt検定など)を用いて検討する。 これらの研究に基づき、耳鳴の大きさに対する「1. 鍼医学的触圧刺激の効果」や「2. 手部・足部・体幹部などの耳鳴反応点の有無やその効果」などについて検討する。 研究3-5の研究対象者数は各7例とする予定である。
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