研究課題/領域番号 |
19K11765
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
伊藤 綾香 名古屋大学, 環境医学研究所, 講師 (80508333)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 自己免疫疾患 / 脂質代謝 / 免疫代謝 / イムノメタボリズム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、全身の脂質代謝とは独立して制御される免疫細胞の脂質代謝制御とSLEの発症・進展における意義を解明することを目的とする。現在までSLEを根治する治療法は確立されておらず、非特異的な免疫抑制療法が主流である。最近、B細胞増殖因子に対する中和抗体療法が開始されたが、初期治療としては用いられていない。また、 GWASやeQTL解析から脂質代謝と自己免疫疾患の関連性も示唆されているが、直接的な因果関係を示す報告はない。本研究により、SLE発症初期の免疫細胞における脂質代謝異常のメカニズムと、脂質代謝と病態との因果関係を解明することは早期の新規治療法の開発を見据えた重要な研究である。
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研究成果の概要 |
自己免疫疾患は、自己に対して免疫系が過剰に反応することで発症し、多くが難病指定されているが根治療法が確立されておらず、病態の発症や悪化のメカニズムの全容にも不明な点が多い。本研究では、異なる病因によって発症する2種類の自己免疫疾患モデルマウスを用いて、オメガ3系多価不飽和脂肪酸であるエイコサペンタエン酸(EPA)の経口摂取が自己抗体の産生や腎糸球体への免疫複合体沈着などの特徴的な病態を改善することを見出した。また、そのメカニズムとしてEPAは、B細胞の脂質の対なミックな量的・質的変化をもたらし、抗体産生細胞への分化を抑制することを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年、細胞内の栄養代謝が免疫細胞機能を制御する「Immunometabolism - 免疫代謝」という学問領域が注目されている。本研究により、免疫細胞内の多価不飽和脂肪酸含有リン脂質を中心としたダイナミックな脂質の質的・量的変容がB細胞や樹状細胞などの免疫細胞機能に影響し、自己免疫応答を抑制するという、新しい免疫代謝のメカニズムが明らかとなった。また、EPAは魚油の成分であり、日常の食生活に取り入れられること、また、高脂血症治療薬としてすでに臨床応用されており、安全性が確認されていることから、EPAの摂取がSLEにおける新たな予防・治療法につながる可能性が示唆された。
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