研究課題/領域番号 |
19K11814
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60010:情報学基礎論関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
伊藤 健洋 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (40431548)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 組合せ遷移 / グラフアルゴリズム / マッチング |
研究開始時の研究の概要 |
組合せ遷移は,持続的システムや組合せパズルといった多くの動的な状況を数理モデル化し,そのアルゴリズムを理論解析する研究である.本研究では「遷移に必要な最小ステップ数はいくつか?」という最短遷移問題に対し,アルゴリズム手法の開発を目指す.特に,異なるタイプの問題を比較検証することで,最短遷移問題の難しさの本質に迫り,開発したアルゴリズムを基礎手法として汎用化することを目指す.
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研究実績の概要 |
本年度は,遷移させる対象として(すなわち,解空間グラフの頂点として)入力グラフの部分木を考え,関連する遷移問題を解析した.無向グラフだけでなく,有向グラフも対象として研究を行った.同じサイズの部分木を遷移させる対象とした場合,無向グラフであれば解空間グラフは常に連結となる.しかしながら,有向グラフである場合には,この性質は成り立たない.有向グラフにおける部分木の定義は,ここでは省略するが,比較的単純なグラフでも,遷移ができない2つの有向部分木を見つけることができてしまう.このような従来研究とは性質が異なる解空間グラフについて,本研究では解析を進め,アルゴリズム開発を行った. また,遷移させる対象が,入力グラフの2点sとtを繋ぐ最短パスである場合も研究した.この遷移問題は,これまでもよく研究されており,入力グラフの構造に基づく計算複雑性の解析が広くなされてきた.これに対して,複数のstペアを導入し,それらが点素な最短パスで繋がれる場合の遷移問題を考えた.従来の単一のstペアの場合とは,計算複雑性の観点から異なる結果をいくつか与えることができている.特に,単一のstペアであれば最短遷移が多項式時間で解けていた場合であっても,複数のstペアでは計算困難になることが示せ,興味深い知見を得ることができた. 本研究では他にも,完全マッチングの最短遷移に関する論文を学術雑誌にて発表したり,有向グラフにおける独立集合の遷移問題を研究したりした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
有向木,マッチング,最短パスなど,様々なタイプのグラフに関する遷移問題について,解析を進められている.迂回を捉えたアルゴリズム手法の開発も,成功事例が蓄積されてきている.また,最短遷移問題に付随して,到達性判定の遷移問題についてもアルゴリズムを開発したり,計算困難性を解明したりと,研究手法を波及させることも出来ている.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに開発したアルゴリズム手法を,様々な組合せ遷移問題に適用できるように(適用しやすいように)整理していく.そのためにも,これまでとは異なるタイプの組合せ遷移問題にも,アルゴリズム手法の展開を模索していく予定である. コロナ禍の影響も徐々に少なくなってきたため,海外現地での成果発表及びそこでのディスカッション等を通して,多角的な視点から本研究の成果をまとめていく予定である.
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