研究課題/領域番号 |
19K11836
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60020:数理情報学関連
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研究機関 | 法政大学 (2020-2023) 東北大学 (2019) |
研究代表者 |
林 俊介 法政大学, 理工学部, 教授 (20444482)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 最適化 / 数理工学 / 均衡問題 / 都市経済モデル / 交通モデル / インフラ最適化 / 情報基礎 / アルゴリズム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題は無限次元最適化問題に対するアルゴリズム開発・数理的解析を目指したものである.しかしながら,既存の理論面に重点を置いた研究とは一線を画し,交通工学や都市経済学における具体的なモデルに対する応用が念頭に置かれたものである.実際,無限次元とはいっても,これらのモデルに現れる最適化問題の多くは時空間上で定義される関数を変数としたものである.これらの問題に対して,共通の本質的な構造を抽出しながら,その特殊な構造を活かしたアルゴリズムの開発を目指す.
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研究実績の概要 |
令和5年度の成果として,都市経済モデルに対する最適化手法の適用および既存モデルの拡張が挙げられる.
多くの都市では中心部に商業施設などが集積する都心が形成され,都市規模によっては都心から少し離れたところに副都心が形成されることがある.例えば,東京ならば銀座・丸の内周辺に都心が形成され,少し離れた渋谷・新宿・池袋に副都心が形成されている.また,もっと離れたところに目を向けてみると,吉祥寺・立川・八王子・町田といったより小規模の経済圏がある程度の間隔で形成されている.このように,都市は空間上に均一に分布するのではなく,不均一にかつ数か所に集積しながら分布している.その集積がどのようなメカニズムで起こるのか,またどのような集積パターンが形成されるのかを理論的に解明すべく提案された数理モデルの一つがFujita-Ogawaモデルである.
Fujita-Ogawaモデルでは,都市の集積・分散が企業間の交流便益による効用,家計の通勤費用による不効用,土地の制約による地代の上昇などによって起こるものと規定している.既存研究では,その均衡状態を求める問題をある種のポテンシャル関数に対する最大化問題として帰着している.一方,令和5年度に我々が行った研究では,Fujita-Ogawaモデルに対して企業の異質性を導入し,より一般的な設定に基づくモデルの拡張を行った.具体的には,時間価値の異なる複数種類の企業が存在することを仮定し,その仮定の下で均衡状態を最適化問題として帰着した.また,具体的なシミュレーションもいくつか行い,企業や家計に対する距離減衰パラメータ,時間価値パラメータを様々に変化させることにより,それぞれ特徴的な均衡パターンが創出されることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度は逐次単射アルゴリズム(Inexact Sequential Injective Algorithm: ISIA)といったアルゴリズムの開発に注力した.一方,令和5年度は都市経済モデルの研究を主体的に行い,いくつか新たな結果を得るに至った.これまでアルゴリズム開発とモデル開発に対する研究が少しずつ進んでおり,令和6年度はそれらの集大成となるような研究成果を挙げたい.
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は,令和5年度から取り掛かっている半無限計画問題に対するαBB切除平面法の仕上げを行っていきたい.αBB法とは,半無限計画問題における無限個の不等式で表現された制約領域を,有限個の凹二次関数を用いることにより内部近似していく手法である.一方,切除平面法とは,有限個の不等式を上手く選択することにより,制約領域を外部近似する手法である.この二つの内部近似・外部近似の技法を上手く組み合わせることにより,両者の特長を兼ね備えた性能を期待できるのが,αBB切除平面法である.また,令和6年度は本課題の最終年度となるので,アルゴリズムだけでなく,応用モデルに関する複合的な研究も行っていきたい.
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