研究課題/領域番号 |
19K11838
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60020:数理情報学関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
三好 直人 東京工業大学, 情報理工学院, 教授 (20263121)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 確率モデル / 無線通信ネットワーク / 空間点過程 / 性能評価 / 確率幾何 / パルム分布 / 性能解析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,無線通信ネットワークを空間確率モデルとしてモデル化し,そのモデルの解析を通してネットワークの性能評価を行います.特に,次世代の無線通信システムとして注目されている超高密度ネットワーク (無線基地局が無数に設置されたネットワーク) に焦点を当て,どのようなモデル化が妥当か,基地局が無数に設置されることによってどんな問題が起こり得るか,といった観点からモデル化および解析を行います.これは研究代表者のこれまでの研究成果を発展させるものであり,モデル化・解析においては,空間点過程 (空間にランダムに配置された点の集合) と確率幾何学の理論を用います.
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研究実績の概要 |
本研究課題では,無線通信ネットワークの空間確率モデル(無線ノードの不規則な配置を空間点過程と呼ばれる確率過程を用いてモデル化したもの)において,特に基地局が無数に設置された超高密度ネットワークに焦点を当て,モデル化ならびに解析法の検討を行っています.2023年度の研究実績は以下の通りです. 1)移動体のハンドオーバ制御方式の提案とそのモデル化,解析および性能評価.無線環境内をユーザが移動する状況を考えます.基地局が高密度に設置されていると,ハンドオーバと呼ばれる (移動中のユーザが通信相手の基地局を切り替える) 現象が頻繁に起こることになり,それによりデータ通信が途切れてしまう等の通信障害の可能性が大きくなります.一方で基地局が高密度になると,常に近くに複数の基地局が存在するので,ハンドオーバを頻繁に行わなくてもある程度の無線通信環境が保たれます.そこで,ハンドオーバを制御する方式を提案し,モデル化と解析を通して提案方式の性能評価を行いました.ここでは,ハンドオーバ頻度と通信容量という2つのトレードオフ関係にある性能評価量をそれぞれ数値計算可能な形で導出し,数値的に検証することによって性能評価を行っています. 2)ショットノイズ確率場のスケール極限の導出.ショットノイズ確率場は無線ネットワークにおける干渉場の確率モデルとして考えられます.このショットノイズ確率場に対して,点過程の強度を無限大にしたときの有限次元分布の意味での極限を導きました.極限として得られた確率場は超高密度無線ネットワークの干渉場の近似モデルとして考えることができます. 1) の成果は学術論文誌に掲載されました.2)の成果は確率モデルに関する国際会議で発表するとともに,さらに新たに得られた成果を国内の研究シンポジウムで発表しました.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルス感染症の影響でオンライン開催になった国際会議への参加を見送ったりしていたため,研究成果の公開は arXiv への登録または国内研究集会での発表を除いて,主に学術論文誌への掲載を中心にしていました.そのため,査読に時間がかかって発表に至っていないものもありましたが,研究成果自体は着実に積みあがっています.尚,2023年度から徐々に国際会議にも出席するようにしています.
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今後の研究の推進方策 |
交付申請書にあげた以下の課題についてはarXivに登録していますが,その後で新しい結果が得られたため,それを加えた形で改訂し,今年度中に学術論文誌へ投稿する予定です. 1)空間点過程によって与えられるショットノイズ確率場のスケール極限の導出. これに加えて関連する別のモデルの解析も行っています.
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