研究課題/領域番号 |
19K11863
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60030:統計科学関連
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研究機関 | 高崎経済大学 |
研究代表者 |
宮田 庸一 高崎経済大学, 経済学部, 准教授 (10514250)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 方向統計学 / 非対称性 / 識別可能性 / 多様体上の確率モデル / 非対称分布 / 有限混合モデル / 漸近理論 / 時系列解析 |
研究開始時の研究の概要 |
風向きなどの方向を表すデータ,文書の特徴を表すデータなどは,長さが1のベクトルで表せることが知られている. またこのようなデータは時として,ピークが2つ以上ある多峰型の形状になることがあり,そのような場合には"対称"な分布をコンポーネントに持つ有限混合モデルもしくは,隠れマルコフモデルを用いることが一般的であった.本研究においては,"非対称"な形にもなり,理論的に取り扱いやすい確率分布の有限混合モデルおよび隠れマルコフモデルを提案し,その推定方法,および推定量の妥当性を明らかにすることを目的とする.
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研究実績の概要 |
シリンダー上の統計モデルとは、円周上の単位ベクトルの角度を表す確率変数と、非負値の値(もしくは実数値)をとる確率変数を組にした確率ベクトルの分布のことをいう。 円周側の周辺分布が非対称な形状にもなるシリンダー上の統計モデルとしては、Abe and Ley (2017, Econometrics and Statistics)の分布が知られている。 この分布は、簡単な正規化定数,容易な乱数生成法,陽に表すことができる三角モーメントを持つことが知られており、取り扱いが容易なものになっている。 その一方で、円周側の周辺分布がcircular skewnessの意味で非対称化できる度合いはそれほど大きくないことが知られている。 本研究を通じて、 Abe and Leyにより提案された分布を拡張することにより、簡単な正規化定数、容易な乱数生成法、陽に表すことができる三角モーメントを持つといった性質を保持しながら、上記の分布よりも大きな歪みを表現することができる分布の開発を行った。 またこれに加えて、この分布族のパラメーターに関して識別可能であることを明らかにした。 この研究成果は、Miyata, Shiohama and Abe.(2024, Symmetry)に掲載されている。 また、2023年12月に開催された国際学会(Computational and Methodological Statistics)では、上記の新たな統計モデルをコンポーネントに持つ隠れマルコフモデルを提案し、実際の風向風速データに対して、既存の統計モデルよりも優れたデータフィッティングを与えられることを報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
以下の2つの理由により, 研究がやや遅れている状況にある: 1. 大学内外から依頼された業務に多くの時間を費やさざるをえなかったため、研究時間の確保が困難であった。 2. 投稿していた論文がリジェクトされてしまったため、リジェクトされたときに送られてきたレフリーコメントに従って、論文を修正するのに時間がとられてしまったため。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗状況で述べた論文がリジェクトされてしまった理由としては、提案したモデルの良さ、すなわち、円周側の分布が大きな歪みを持っているようなシリンダー上のデータに対しても良いモデルフィッティングを与えられるということを示す実データ解析の例ではなかったことにある。 このため、提案したシリンダー上の統計モデルの妥当性を示すことができるデータを与えることが最重要課題となる。 またその一方で、シリンダー上の値をとるデータが、時間に依存して変化する時系列データであった場合のモデル化に関する論文の執筆も早急に行う。
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