研究課題/領域番号 |
19K11869
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60030:統計科学関連
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研究機関 | 法政大学 (2021-2023) 南山大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
阿部 俊弘 法政大学, 経済学部, 教授 (70580570)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 方向統計学 / 角度分布 / シリンダー分布 / EMアルゴリズム / シリンダーデータ / 歪対称分布 / 角度データ / 歪対称モデル / シリンダーモデル / 角度統計学 / 統計的モデリング / 実データへの応用 / 国際共同研究 |
研究開始時の研究の概要 |
渡り鳥であれば移動方向と移動速度、風であれば風向と風力、というように、自然現象で遭遇するいくつかのデータは「角度」と「長さ」の組で与えられる。このような組は円筒(=シリンダー)上の点と同一視することができることから、シリンダーデータと呼ばれている。角度データ(または円周データ)は、データがユークリッド空間全体ではなく円周上に制限されているという特殊性のために、対応する統計分布を構築し、パラメータ推定を行うことにしばしば困難が生じる。このような困難を乗り越えるための統計モデルを構築し理論的研究を進めると同時に、実データを解析することにより、データに潜む現象を解明することを目指している。
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研究実績の概要 |
自然現象で遭遇するいくつかのデータは「角度」と「長さ」の組で与えられる。このような組は円筒(=シリンダー)上の点と同一視することができることから、シリンダーデータと呼ばれている。データに角度(または周期性)が含まれると、対応する統計分布を構築し、パラメータ推定を行うことに困難が生じる。このような困難を乗り越えるための統計モデルを構築し理論的研究を進めると同時に、実際のデータ解析を行うことにより、データに潜む現象を解明することを目指している。本年度はシリンダー上のモデリングとその推測理論についての研究をさらに推し進めた。より具体的には、 ・Cauchy型分布という新しいクラスの分布族のEMアルゴリズムの陽的表現について、高速化が可能であることを突き止めた。また、これに関する研究発表をし、国際誌に論文投稿をした。 ・角度モデル、漸近理論、時系列解析、ベイズ理論の共同研究者らとディスカッションを続け、結合シリンダー分布を提案し、その周辺分布を計算し、シリンダー上のMarkovモデルとして適用を行い、風速・風向についての時系列解析について研究を進めた。 ・別の研究グループとの成果として、単純かつ陽的なexpected Fisher informationの表現を可能とするシリンダーモデルの開発にも成功し、国際会議での発表を通じて、研究成果を世界に共有した。これらを基礎とした国際的な共同研究も進め、新しいタイプのシリンダー分布の構築にも挑戦することができている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
・推測理論として、Cauchy型分布に対するEMアルゴリズムの研究を進めた。アルゴリズムが陽的に表現できることから、さらなる良い性質が期待されていた。実際、これについて、当該分野の研究者とディスカッションをすることにより、ベクターイプシロンアルゴリズムを適用することにより高速化ができることがわかった。結果として、共同研究として国際誌に論文投稿した。また、この理論を活用して、円周分布の歪対称化について成功した。この歪対称な円周分布についての推測理論もほぼ完成している。 ・研究者同士のネットワークを活用して、結合シリンダー分布とそれに関連するマルコフ過程について周辺分布の陽的表現やそれに関連した条件付き分布の表現についてディスカッションを行い論文にまとめた。これについて、Professor Ashis SenGuptaのSpecial volumeに採録決定となっている。 ・単純かつ実際の現象にも意味のあるモデルを考案していたが、実はこのモデルは陽的なexpected Fisher informationの表現が可能であることがわかった。内容としてかなり興味深いシリンダーモデルの開発に成功したので、これについて研究発表を行った。 ・GIGモデルを基にした新しいタイプのシリンダーモデルの開発を行い、その数学的性質や柔軟性について共同研究を続けている。 ・時系列データの専門家らと角度・長さを組にした新しいモデリング手法について共同研究を進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
現在までまとめているCauchy型分布のEMアルゴリズムの論文を国際誌に採録されるよう投稿を続けていく。また、非対称な角度モデル、シリンダーモデルのそれぞれの理論についても、研究発表を継続し、論文として投稿していく予定である。さらに、角度に関連する理論により説得力を持たせるため、実データへの適用を行い、現象の解明を行っていく。他にも様々な国の環境データ等、シリンダーモデルで対応可能なデータを収集し、新しい統計的モデルとその適用についてさらに研究を推進していく予定である。
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