研究課題/領域番号 |
19K11894
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60050:ソフトウェア関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
長谷部 浩二 筑波大学, システム情報系, 准教授 (80470045)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 帰納的ゲーム理論 / 知識論理 / 意思決定 / ゲーム理論 / 論理推論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,自律的に振る舞う複数の主体が互いに影響を及ぼし合いながら意思決定する過程を,論理体系によって定式化することを目的とする。特にここでは,環境に関する先験的な知識や十分な認識能力を持たない主体が,限られた経験からどのように知識や信念を獲得するのか,またそこからどのような推論を経て意思決定を行うのかといった問題に焦点を当てる。そのために本研究では,帰納的ゲーム理論によって定式化された主体の推論を知識論理により分析し,各主体の主観的な知識の形成過程と均衡などの全体性が創発する過程との関係を明らかにする。また以上で得られた成果を,自律分散システムの設計などに応用することを目指す。
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研究成果の概要 |
帰納的ゲーム理論において主体の行う推論を,知識論理と呼ばれる様相論理の一種を用いて定式化することを目標に研究を行った。また,上述の知識論理をもとにした論理体系を用いた認識論的ゴシッププロトコルの分析を行った。特に,一部のネットワーク参加者が故障しうることを仮定した場合に,他の参加者がその故障に気づくための認識論的条件を明らかにした。さらに,分散システムにおけるビザンチン将軍問題を解くためのプロトコルにおける故障の特定の条件について分析を行なった。その結果,前述の認識論的ゴシッププロトコルと同様に,受信したメッセージの間の齟齬によって故障を特定できることを示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は帰納的ゲーム理論を数理論理学の成果によって補強するという意味で,ゲーム理論の分野において独自性を有するだけでなく,情報科学への応用の観点からも,特に自律分散システムの設計開発に対して有用であると言える。一般に,分散システムの設計は非常に複雑で難しく,各主体の持つ知識やメッセージの交換の方法の微妙な違いによって,目的とする均衡状態の実現の可否が変わってしまう。そのため,数理論理学などの厳密な方法を用いた定式化により,意図通りのシステムの設計が可能となることが期待される。またこのことは,ゲーム理論をもとに既に設計された分散システムの検証法としても新たな可能性を提供するものでもある。
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