研究課題/領域番号 |
19K12106
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61030:知能情報学関連
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
黒川 弘章 東京工科大学, 工学部, 教授 (20308282)
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研究分担者 |
高坂 拓司 中京大学, 工学部, 教授 (80320034)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 並列計算 / GPGPU / OpenMP / 分岐点探索 / GPU / 分岐解析 / 最適化 |
研究開始時の研究の概要 |
世の中の事象を表すモデルにおいて、そのモデルが持つパラメータが変化する過程で突然その様相が変化する現象を分岐現象と言います。分岐が起こるパラメータを探索することはそのモデルの性質を知るために重要で分岐解析と呼ばれます。この分岐解析の方法の一つにNLPSOがあります。この方法は特に複雑なモデルで威力を発揮しますが、多くの計算時間を必要とするという欠点があります。そこで、この研究課題では、並列計算の技術を使って計算時間の短縮を実現します。
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研究実績の概要 |
2019年度、2020年度、2021年度に引き続き非線形力学系における分岐点探索アルゴリズムであるNLPSOの並列化とアプリケーション化に取り組んだ。2020年度までに当初の計画にあったGPGPUを用いた並列化とその効果は示していたが、実行環境からみた利便性を考慮し並列化の手段として新たにマルチコアCPUを用いた手法にも取り組んだ。また、2021年度のアプリケーション化への取り組みにより2022年4月にGithubで並列化されたNLPSOアプリケーションが公開され、現在も随時更新されている。現在の公開版は離散力学系にしか対応していないが、当初の目標であった連続系への対応について2022年度内に概ね開発が終了しており2023年4月の段階でテスト段階にある。この段階でアプリケーションにはマルチコアCPUによる並列化が実装されている。また、アプリケーションの性能評価のためにコア数の異なるいくつかの環境で性能比較を行う予定である。将来的にはGPU、マルチコアCPU両対応のアプリケーションを作成する予定であるがこれは次の課題としたい。現状のNLPSOアプリケーションは力学系を定義する方程式、パラメータ探索範囲、いくつかのハイパーパラメータだけを与えて、周期倍分岐とサドルノード分岐についてのパラメータ分岐図を得ることができる。これはヤコビ行列を求める際に必要な微分を数値微分で求めることで実現しているが、共同研究者の研究成果を元にしたものである。コロナ禍の影響もあって課題の遂行に遅延が生じたが、性能評価のためのコア数の多いCPUを搭載するPCの調達も済んでおり、新たに調達した環境でアプリケーションの性能評価を行い論文にまとめて課題が終了することになる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
並列化NLPSOの開発については概ね当初の予定通り研究を進めることができており、並列化プラットフォームに関する方針転換があったものの2022年4月にアプリケーションの公開に至っている。アプリケーションの開発は順調に進んでおり、2022年度中に最終のテスト段階まで辿り着いている。残すはアプリケーションの性能評価と論文による成果発表のみで、2023年度前半に課題を終了させることができる見込みである。2020年度からのコロナ禍における学務エフォートの激増と大学設備利用制限の影響や性能評価環境整備の遅延が原因となり「やや遅れている」の判定としているが延長期間の中でゆとりを持って課題終了できる見通しが立っている。
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今後の研究の推進方策 |
離散力学系と連続力学系に対応した並列化されたNLPSOアプリケーションの公開の見通しが立ったことで本研究課題の目標を達成したと考えている。2023年度は現時点で得られた成果についての発表を行い課題を終了する。並列化のプラットフォームをOpenMPに変更しているが、CUDAオプションの実装は課題として残されており、本課題終了後の新たな課題として取り組む予定である。また、成果発表を通して多くの知見が得られ、その中には、元々の分岐点探索アルゴリズムであるNLPSOの改善につながる知見もある。これらの課題を今後の研究の中で推進して行きたい。
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