研究課題
基盤研究(C)
人間のカテゴリー分類機能は、生活する上で非常に重要な機能である。しかしながらその神経機構はまだ分かっていない。申請者は、物体情報がサルの脳のTE野に到達する前に、イヌやネコを大まかに分類でき、TE野でイヌやネコの境界付近の細かい特徴の差から分類できるようになっていると仮説をたてた。その仮説を検証するために、TE野内に複数の電極アレイを埋め込み、多数のニューロン活動を同時記録する。さらに、ニューロン活動からモデルのパラメータを推定し、推定したパラメータを用いてニューラルネットワークモデルを構成する。これらにより、TE野内でのカテゴリー情報の処理過程が明らかになることが期待される。
本研究では、TE野内に複数の電極アレイを埋め込み、犬と猫の画像を分類するタスクを課している時のニューロン活動を記録し、線形デコーダーによりカテゴリーの正答率を計算した。その結果、実験日が進むにつれて、正答率が向上した。また、AlexNetの各層と顔画像を呈示した時に記録したTE野のニューロン活動を比較した。その結果、AlexNetの全結合層がTE野のニューロン活動の情報表現に似ていることが分かった。さらに、深層ネットと連想記憶モデルを組み合わせたモデルを構築し、複数のカテゴリー情報を異なった時間に出力することが可能となった。
我々は、全く同じものに出会ったことが無くても、その形状等の特徴からその性質を推測することができる。それゆえ、カテゴリー分類機能は、人間にとって重要な機能である。しかし、脳内においてどのようなメカニズムでカテゴリー分類が行われているかは不明である。本研究により、TE野のニューロン集団の活動がカテゴリー分類タスクにより変化することが分かった。さらに深層ネットとTE野の比較をおこなうことで、TE野のリカレント結合が深層ネットに足りないことを明らかにした。これらはTE野がカテゴリー分類において重要であることを示唆している。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 2件)
Frontiers in Systems Neuroscience
巻: 16 ページ: 805990-805990
10.3389/fnsys.2022.805990
Journal of Computational Neuroscience
巻: - 号: 3 ページ: 1-7
10.1007/s10827-021-00778-5