研究課題/領域番号 |
19K12150
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61040:ソフトコンピューティング関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
早川 美徳 東北大学, データ駆動科学・AI教育研究センター, 教授 (20218556)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 群れ / 集団動力学 / 編隊飛行 / 制御 / トラッキング / 因果律 / ステレオカメラ / 動態 / 計測 / 渡り鳥 |
研究開始時の研究の概要 |
ツルやガンの編隊飛行のリーダーを先頭の個体と考えるのはほとんど自明のように思われる一方で、実測データからそれを示した例はない。群れの先頭の入れ替わりのメカニズムや、距離の離れた個体や後方の個体の挙動が群れ全体に及ぼす影響について定量な知見を得るため、ステレオ動画像解析等の手法によって、加速度、羽ばたきの位相等の複数の特徴量の時系列を取得する。大型の群れについて、運動の大域的な多様性と複雑性に着目しつつ、群れ構造がどのような相互作用と情報の流れによって統御されているのか、リーダー・フォロワー関係や因果性についての動力学的および情報論的な解析を通じ、その機序を明らかにする。
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研究実績の概要 |
V字や鉤型等が特徴的な編隊飛行を呈する渡り鳥の群れは、そのサイズも、形も、動的に大きく変動しているが、実データに基づいて数理モデルとそのパラメータを推定することにより、その様態や安定性を理解しようとするのが本研究のねらいである。 研究期間を1年延長の上、4年度目には、宮城県の渡り鳥飛来地においてステレオカメラで撮影し蓄積してきたマガン等の飛行画像のデータについて画像処理を進め、定量的な分析に十分に耐えうる精度の軌跡データを多数収集することができた。画像中の鳥の特定部位の検知に畳み込みニューラルネットモデルを用いたり、時系列の推定に用いる際のカルマン平滑化アルゴリズムを見直す等によって、計測の実質的な誤差を低減することに成功した。 群れの各個体は前方の個体との相対的な位置と速度を調整しつつ、非対称的な相互作用を通じて編隊を維持しており、それを表現する運動方程式を状態空間とするようなベイズ構造時系列モデルを構成した。その上で、実測により得た鳥の軌跡データを粒子フィルターによって処理することで、運動のパラメータ、すなわち、有効的な「バネ定数」や「減衰係数」を推定することに成功した。 一車線での交通流のような一次元的な集団運動の不安定性はstring instabilityとして制御工学の分野で知られていたものであるが、渡り鳥の群れも同様の数理的なクラスとして理解できる。本研究ではそれをさらに進めて、一次元的な群れが安定的に維持可能な臨界的なサイズ(個体数)と有効相互作用との関係を導くことができた。これらのパラメータは、群れの状況や群れの中の個体の位置によっても変化しており、群れの多様な様態との関連性を示唆する結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究開始当初から生じたコロナ禍の中で所属大学のオンライン授業実施の実務的な担当者を任されたため、当初に想定していたエフォートを本研究に割くことができなかったこと、および、2020年と2021年の冬季はフィールド計測を行っている地域の天候が悪く、さらに積雪が例年より多く渡り鳥の餌場が移動したため、定量的な分析が可能な好条件でのデータが十分に収集できなかったことにより、計画よりも遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画を延長することにより、屋外での計測データを追加して取得することができ、さらに分析用プログラムの追加開発と改善を図ることができた。データ処理には人手での工数も多くかかるため、統計的、定量的な批判に耐える内容を伴って結果を公表するために、さらに1年の期間延長し、結果のまとめとジャーナル等への発表を行う予定である。
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