研究課題/領域番号 |
19K12155
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61040:ソフトコンピューティング関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
服部 元信 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (40293435)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 海馬 / 大脳皮質 / エピソード記憶 / 宣言的記憶 / ニューラルネットワーク / 破局的忘却 / スパイキングニューラルネットワーク / 生成モデル / 破局的忘却の抑制 / 海馬モデル / CA2 / STDP / 重み減衰機構 / スパイキングニューロン / ソフトコンピューティング |
研究開始時の研究の概要 |
脳の機能において記憶はとりわけ重要であり,我々人間の知的な活動は記憶を抜きにしては語れない.記憶の中でも意識的に思い出すことのできる宣言的記憶は,思考や推論といった高次な情報処理に利用されているため,人間のように知的で柔軟な情報処理システムを構築するには,如何にして宣言的記憶の形成過程を模倣するかが重要である.近年の脳科学研究により,宣言的記憶の形成には脳の海馬と嗅周囲皮質(大脳皮質の一部)が重要な役割を果たしていることが明らかになっている.本研究では,将来の脳型情報処理の実現を念頭に,脳科学研究で得られている知見を採り入れた,工学的に有用な宣言的記憶の形成モデルの構築を目指す.
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研究成果の概要 |
本研究では,脳を模倣した工学的に有用な知的システムの構築を目指し,脳における宣言的記憶の形成過程のモデル化を行い,以下の成果を得た.(1)神経細胞を精緻にモデル化したスパイキングニューラルネットワークの新しい教師あり学習法を考案し,脳のように破局的忘却を抑制した記憶形成が可能であることを示した.(2)海馬CA2を導入した新しい海馬モデルによって複雑なエピソードの記憶及び想起が可能となることを示した.(3)情報の覚えやすさと忘却のしやすさについて調査し,忘却の抑制に効果的な学習法を考案した.(4)長期記憶を担うモデルのロバスト性及び汎化性能を向上させる手法を考案した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
意識的に思い出すことのできる記憶(宣言的記憶)は,思考や推論といった脳の高次情報処理に利用されているため,人間のように知的で柔軟な情報処理システムを構築するにあたっては,如何にして宣言的記憶の形成過程を模倣するかが重要である.特に人間特有の記憶については,脳の一部を損傷させて機能を解明するような研究は倫理的に不可能なため,計算モデルによる研究の果たす役割が大きい.本研究では,主に脳の海馬に関する知見に基づき,宣言的記憶を形成するモデルの構築,忘却を抑制しつつ記憶を形成するための学習方法の構築を行い,人間の記憶の形成過程を工学的に模倣するモデルの基礎としての成果を得た.
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