研究課題/領域番号 |
19K12208
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分62010:生命、健康および医療情報学関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
撫中 達司 東海大学, 情報通信学部, 教授 (00757594)
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研究分担者 |
田中 伸幸 一般財団法人電力中央研究所, 環境科学研究所, 上席研究員 (30371363)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 行動認識 / 行動モデル / 介護記録 / ニオイセンサ / オントロジー / 認知症の早期発見 / センサーデータ / 生活音 / ベイジアンネットワーク / ニオイ / 行動生起確率 / オントロジ / オントロジ― / 日常生活データ / 音・ニオイ / 機械学習 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,時刻・位置を含むセンサーデータ(音・ニオイ・振動)から「事象」を特定し,さらに相関のある複数の事象から「行動」を認識する(行動認識オントロジー)。その上で,認識された行動を用いて生活リズムをモデル化することで,短期(突発)・中期・長期的な観点で老齢者の状態を管理可能とし,日常生活の変化に“気付く”ことで,認知症の早期発見など老齢者介護の充実化に貢献する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,老齢者の日常生活動作・活動(ADL)に含まれる食事,排せつ,入浴,掃除などを音,ニオイ,振動などのセンサーデータを活用して認識し,その行動をモデル化し,個人の生活リズムとして評価可能とすることで,短期(突発)・中期・長期的な観点で老齢者の状態を管理可能とし,①突然の事故(転倒),②状態変化に応じたケアプラン作成,③認知症の早期発見などの介護ケアに貢献することである. 本目的に対して,これまでの研究において,(1)介護記録における自立度自動評価アルゴリズム,(2)介護記録からのオントロジ生成の試作などに取組みしてきた.本年度は,特に(1)の成果を活用した行動認識システムを構築し,被験者2名の居住空間において行動認識に関する評価を実施した.その結果,それぞれ96%,85%という認識率を確認した.生活音の認識においては,音声認識に活用されているMFCC(Mel-Frequency Cepstral Coefficient)を改良して認識率の向上を図った.本成果について,電子情報通信学会の英文論文誌に採用,掲載された(a).本成果により,高齢者の日常生活動作・活動(ADL)に含まれる食事,入浴,掃除などの基本行動については行動認識が可能であるという結論を得た.なお,(2)については21年度の成果として,オントロジの自動構築の基本機構は確認できている.(1)はData-driven approachの1手法であり,また,(2)はKnowlege-driven approachを行うためのオントロジ構築手法となる.今後は(1)と(2)を組み合わせたナレッジグラフを構築することで,本研究の目的の達成に向けて研究を進める予定である. (a) Home Activity Recognition by Sounds of Daily Life Using Improved Feature Extraction Method, IEICE TRANSACTIONS on Information and Systems, Vol. E106-D No.4, p.450-458
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究にて考案した生活音を分析することにより行動を認識するアルゴリズムを用いて行動認識システムを試作し,2名の被験者の居住空間において実際の評価を実施した. この結果を踏まえ,高齢者の活動認識システムに関する以前の研究で見つかった信頼性,メンテナンス,およびプライバシーの問題について評価を実施した. なお試作したシステムは,Raspberry Pi 3 上で動作し、マイクから入力された生活音を機械学習SVMを用いて行動認識を行う.生活音の認識においては,音声認識に活用されているMFCC(Mel-Frequency Cepstral Coefficient)を改良して認識率の向上を図った.本内容をまとめた論文が電子情報通信学会の英文論文誌に採用,掲載された(2023年4月). この論文により,本研究の目的とする高齢者の行動認識による行動モデルの構築に必要となる基本アルゴリズムの確認が行えたことにより,概ね順調に進展していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
行動認識のさらなる高度化については,21年度の成果である,介護記録からのオントロジ生成との連携によるナレッジグラフの構築が必要となる.現時点では,生活音から事象(イベント)を推論し,連続した事象から1つの生活行動を推定する方法を取っているが,生活行動の推定においては手動で推定しており,オントロジを検索することにより自動的に生活行動の推定を行うことが求められる.今後は本テーマについて検討を進めていく.
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