研究課題/領域番号 |
19K12298
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
笠原 玉青 九州大学, 農学研究院, 准教授 (10622037)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 山地渓流 / 硝酸態窒素 / 河川間隙水域 / 斜面水 / トレーサー / リター分解 / 河床地形 / 無機態窒素動態 / 窒素動態 / 水質形成 / 渓流 |
研究開始時の研究の概要 |
渓流における水質形成機構を、斜面流出と流路内プロセスを定量的に合わせて、明らかにする。窒素動態に着目し、野外実験や観測に、流域・地下水モデルを使った解析を加え、水質形成機構の時間的、空間的変動を解明する。強度間伐や土砂災害など、渓流の環境が一変する事例が増える中、水質の観点からの、渓流環境維持・再生指針への提言を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、渓流における水質形成機構を、窒素の流路内動態に着目して明らかにすることを目的とした。流路内の無機態窒素の保持機能を測定するために、生物反応がほとんどない(Conservative)トレーサーと硝酸態窒素をトレーサーとして同時に流路に投入する実験を各季節の平水時に行った。硝酸態窒素の取込距離(uptake length)は梅雨時期の平水流量も比較的多い時期には600 mと高かったが、それ以外の季節は < 300 mと低かった。調査地は、季節を通して硝酸態窒素濃度が > 1.2 mg/Lと慢性的に高い硝酸態窒素濃度をもつ渓流であったため、取込距離が長くなるという予測に反した。硝酸態窒素濃度の低い森林渓流で測定された取込距離と比較すると、少し高い傾向にはあるものの有意な差はみられなかった。流路と河川間隙水域の水の交換量が、流量の>20%と季節を通して調査区間で高く、河川間隙水域の硝酸態窒素保持への貢献の大きさが示唆された。そこでさらに、流路と河川間隙水域間の水交換を減少させた状態で、トレーサー実験を夏と落葉期に行った。表流水が河川間隙水域に潜る瀬頭に不透水シートを敷くことで水交換量を減少させた。同じ調査区間でシートのある状態と無い状態を比較すると、ある状態では硝酸態窒素の取込距離が夏は>1000 m、落葉期は > 600 m と大きく増加した。また、前年度に行った、流路(瀬・淵)と河川間隙水域のリター分解実験からも、河川間隙水域での微生物分解は淵と同程度であることがわかっている。これらの結果から、河川間隙水域は季節を通して、無機態窒素の流路内プロセスに重要な役割を果たしていることが明らかになった。
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