研究課題
基盤研究(C)
本研究では,「島嶼特有の水循環とリン酸塩負荷がサンゴの石灰化機構に及ぼす影響」を把握することを目的として,1)サンゴ稚ポリプ石灰化機構の分子レベルでの検証,2)土壌・地下水及びサンゴ礁池内のリン酸塩の動態解析と蓄積型リン酸塩の実態把握,3)実環境を想定したリン酸塩のサンゴ稚ポリプの石灰化阻害機構の解明の3項目を主に実施する。
本研究の目的は、陸域から海域への日総リン負荷量と海底堆積物中の蓄積リンの対応関係から、サンゴの成長に許容可能な日総リン負荷量を推定することである。調査地域の沿岸海域における蓄積リンと幼生サンゴ数の関係から、蓄積リンの閾値は3.0μMと推定された。 調査地域における蓄積リンと日総リン負荷量の間には高い正の相関が見られた。サンゴの生育に許容可能な日総リン負荷量は約100 g-P/m3/dayと推定された。これらの結果は、陸域由来のリン酸塩が水循環によって海洋に輸送され、石灰質堆積物に吸着しサンゴの成長を阻害するという我々の仮説を裏付けるものである。
これまで過度の栄養塩が海に流れ込むと,その海域のサンゴが減少することは知られていたが,科学的なメカニズムはわかっておらず,具体的な対策も取られていなかった。本研究の成果は,世界規模で減少するサンゴ礁の保全に大きく貢献できると期待できる。また,CO2の固定化技術の開発は国内外での重要な課題と位置付けられており,サンゴの石灰化を模したCO2固定化技術の開発に繋げる予定である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 6件)
Marine Biotechnology
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