研究課題/領域番号 |
19K12321
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63020:放射線影響関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
井倉 正枝 京都大学, 生命科学研究科, 研究員 (40535275)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 線量率効果 / アセチル化シグナル / 多様性 / エピジェネティクス / TRRAP |
研究開始時の研究の概要 |
放射線の生物学的効果で、同一の吸収線量であるのに、その線量率の違いで生物学的効果が大きく異なる、線量率効果が知られているが、その違いを生み出す分子基盤については、未だ不明な点が多い。最近では、損傷応答シグナルの活性化におけるクロマチン制御の重要性が数多く報告されるようになった。このような状況下で、今回、我々は、クロマチン構成タンパク質であるヒストンH2AXのアセチル化が、ゲノムストレス応答のマーカーである同じくH2AXのリン酸化に対して、線量率の違いで、異なった関わり方をすることを見出した。本課題では、このH2AXのアセチル化に着目し、線量率効果の分子基盤を解き明かす。
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研究成果の概要 |
H2AXのアセチル化 は、主に低線量率のゲノムストレスの対応に重要であり、H2AXのリン酸化は、低線量率および高線量率のゲノムストレスの両方に重要であること、さらにH2AXのリン酸化の低線量率および高線量率の役割の違いをH2AXのアセチル化が規定していることが今回明らかになった。TRRAPは、その担い手であり、低線量率のDNA損傷においては、DNA-PKcsをH2AXのアセチル化に導き、相同組み換え修復(HR)を促す。一方、高線量率のDNA損傷時には、DNA-PKcs は、TRRAPには依存せずにH2AXのリン酸化に関与し、非相同末端結合修復(NHEJ)の促進に関わることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
同一の吸収線量であるのに、その線量率の違いで生物学的効果が大きく異なる線量率効果に着目して研究を進めてきた。今回、H2AXのリン酸化の低線量率および高線量率の役割の違いをH2AXのアセチル化が規定していることが、TIP60複合体の構成因子であるTRRAPに着目することで、明らかにした。生物が、多様で複合的なストレスに対応している様が、次第に明らかになりつつあり、エピジェネティクス制御の担い手であるヒストンの化学修飾の分子機構について検討することは、次世代への影響や多様な個々の放射線応答も明らかにすることに繋がることから、学術的、社会的に意義があると考える。
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