研究課題/領域番号 |
19K12322
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63020:放射線影響関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
河合 秀彦 広島大学, 医系科学研究科(薬), 准教授 (30379846)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 放射線 / 発がん / 幹細胞 / 変異 / 微小環境 / 放射線被曝 / がん / 細胞老化 / 老化 |
研究開始時の研究の概要 |
放射線被曝によるがんの多くでは被曝の爪痕は検出されず、その発がんプロセスは未解明のままである。これまで申請者は、持続的な放射線被曝環境でマウス生体内の細胞及び培養細胞に細胞老化が高効率で誘導されることを見い出し、その分子機構に関する研究を行ってきた。最近、がん細胞への強制的な老化誘導が、がん幹細胞性リプログラミングを生じさせ、がんの悪性化に寄与していることが報告された。そこで本研究課題では、申請者のこれまでの研究と新たな知見を踏まえ、放射線被曝による“発がん”について“老化細胞”と“幹細胞性”の視点から明らかにすることを目指す。
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研究成果の概要 |
放射線発がんのメカニズムを解明するため、放射線被曝によって幹細胞特異的に誘発される変異を明らかとすることを目的に、放射線照射したiPS細胞、また、放射線照射によって細胞老化を誘導した線維芽細胞と共培養したiPS細胞について、その細胞応答性と変異について解析を行った。その結果、iPS細胞で生じる変異は、特殊なDNA複製機構を介して生じるものが多いことが明らかとなった。幹細胞では、体細胞と比較して放射線による変異が誘発されにくい状態であるものの、そうした変異は微小環境やp53およびその他の状況や環境によって増加することも明らかとなった。本研究の成果は、放射線発がんの機構解明につながるものである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
放射線被曝によるがんでは、被曝の爪痕としての特異的な変異が検出されず、その発がんプロセスは未解明である。本研究では、放射線によって幹細胞特異的に誘発される細胞応答性と変異に注目し、解析を行った。その結果、幹細胞におけるp53の機能、および、放射線により細胞老化が誘導された間質系細胞の幹細胞への影響、の2つの観点から、放射線によって幹細胞に誘発される変異に関し、新たな知見を得た。放射線によって幹細胞特異的に誘発される変異とその誘発機構の解明は、放射線発がんメカニズムの解明へとつながり、新しい発がんの予防法やがん治療法の開発へと貢献できるものであると考える。
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