研究課題/領域番号 |
19K12335
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63020:放射線影響関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
尚 奕 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 放射線影響研究部, 主任研究員 (50533189)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | カロリー制限 / 放射線 / 肝がん / NASH / 放射線影響 / 肝癌 |
研究開始時の研究の概要 |
子ども期の放射線被ばく影響では、生涯の発がんリスクの上昇が最も心配される。我々は実験マウスを用いて、子ども期の放射線被ばくによる肝癌リスクを、成体期からのカロリー制限により低減できることを証明した。本研究では肝癌リスク低減メカニズムの解明をめざす。 本研究では、①放射線誘発マウス肝癌に生じる遺伝子変異全貌の解明、②カロリー制限の肝癌遺伝子変異への寄与を明確にすることを目指す。そのため、全エクソーム解析によりカロリー制限下で発生した肝癌と標準食下で発生した肝癌の遺伝子変異の相違を明らかにする。本研究の成果を通し、カロリー制限に代わるがん予防法の基礎データの提供に繋げる。
|
研究成果の概要 |
子ども期放射線被ばくは発がん影響が懸念される。カロリー制限は、古くから発がん低減効果があると知られて、我々も成体期からのカロリー制限が子ども期放射線被ばく誘発マウス肝がんの発生を遅らせることを報告した。しかし、放射線誘発肝癌発生のメカニズムと、カロリー制限の発がん抑制メカニズムの完全解明に至ってない。本研究は肝がんマウスモデルを用いて、被ばくは肝臓細胞の脂質代謝を制御する因子Ppargの特異的な増加を引き起こし、NASH様病変と肝癌発症の早期化を誘発することを見出した。また、生じた肝がんのゲノム変異が多数検出されて、特にMAPK経路の癌遺伝子の早期変異がマウス肝がんの特徴であることを見つけた。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
放射線発がん研究は放射線影響・防護分野において最も重要な部分である。子ども期被ばくの発がんメカニズム研究及びがん予防研究は社会的需要が高い。本研究は放射線被ばくに起因するNASH病変発症の早期化が肝がんリスク上昇の原因であることを初めて発見した。さらに関連する遺伝子発現の異常も明らかにした。NASHはヒト肝がんの主因にもなりつつ、本研究の成果はヒト肝がん予防法の開発にも重要な基礎知見を提示できた。また、ゲノム変異解析の結果から、本研究に用いたマウスモデルの肝腫瘍の変異特徴を見つけた。その中にヒトと共通するdriver変異もあって、今後はヒト肝がん研究にさらなる利用が期待できる。
|