研究課題/領域番号 |
19K12343
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63030:化学物質影響関連
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
北 加代子 帝京大学, 薬学部, 准教授 (30407887)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | チオ-ジメチルアルシン酸 / 紡錘体チェックポイント / 染色体数異常 / 多極紡錘体 / グルタチオン / 走化性・浸潤性 / 微小管重合阻害 / がん関連線維芽細胞 / メチル化ヒ素 / BubR1 / 細胞多核化 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒ素及びヒ素化合物はヒトに対する発がん性が認められているが、詳細な発がん誘発機構は不明である。申請者はこれまで、無機ヒ素の代謝過程で生じる種々のメチル化ヒ素化合物の中に、細胞の多核化や染色体の数的異常を顕著に増加させるものがあることを見出した。染色体の数の異常や多核細胞の出現は多くのがん細胞でみられる特徴であるが、メチル化ヒ素によって引き起こされるこれらの異常が、ヒ素による発がん機構の本体ではないかと考えられる。そこで本研究では、メチル化ヒ素による染色体の数的異常を引き起こす分子メカニズムの解明を試みるとともに、染色体の異常を持った細胞が、がん細胞としての性質を備えていくのか検証する。
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研究成果の概要 |
本研究では、ヒ素のメチル化代謝物の一つであるチオ-ジメチルアルシン酸(Thio-DMA)による紡錘体チェックポイント(SAC)活性化機構を解明するとともに、染色体の数の異常を引き起こすメカニズムの解明を試みた。その結果、Thio-DMAはグルタチオン(GSH)存在下で微小管の重合を阻害することでSACを活性化する可能性が示唆された。また細胞外のGSHは、Thio-DMAの細胞内取込みを抑制することでSACの活性化をおよび染色体数異常細胞の出現を抑制したが、SACが活性化され、分裂前中期で停止した状態の細胞に対しては、異常な分裂を再開させることで染色体数異常を引き起こすことが判明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ヒ素は環境中に存在しており、我々は主に食物を介して日常的にヒ素を摂取している。ヒ素は発がん物質として位置づけられているものの発がん誘発機構は不明な点が多い。染色体数異常は多くのがん細胞でみられる特徴であるが、本研究ではヒ素代謝物Thio-DMAによって引き起こされる染色体数異常誘発機構の解明に成功した。GSHはヒ素の毒性軽減因子と考えられているが、Thio-DMAによって引き起こされる染色体数異常に対しては必ずしも防御的に作用しないことも判明した。本研究成果はヒ素による発がん機構を理解する上で重要な知見をもたらすとともに、ヒ素の解毒を考える上で新たな一石を投じるものであると思われる。
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