研究課題/領域番号 |
19K12410
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64030:環境材料およびリサイクル技術関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
井上 宏之 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (10356503)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 脂肪族ポリエステル分解 / タラロマイセス・セルロリティカス / プラスチック分解処理 / セルラーゼ生産糸状菌 / エステラーゼ / ポリカプロラクトン / ポリヒドロキシ酪酸 / クチナーゼ / プラスチック分解 / 脂肪族ポリエステル / 糸状菌 / バイオマス分解 |
研究開始時の研究の概要 |
廃棄プラスチック処理の新たな分解・リサイクル技術の開発の一環として、植物分解性の糸状菌が本来備えている脂肪族ポリエステル分解酵素群(ポリエステル分解システム)の機能をベースにした新しいプラスチック分解処理の基盤技術を開発する。 具体的には、糸状菌が分泌生産する植物バイオマス成分の分解に関与するタンパク質群から、プラスチックの分解ならびに吸着に関与するタンパク質を明らかにし、複数タンパク質の相乗分解作用をベースにしたプラスチック分解システムのモデルを確立する。 本モデル分解システムは、国内外で研究が進む各種の分解酵素と共に、実用的なプラスチックの分解・リサイクル技術の開発への活用が期待される。
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研究実績の概要 |
本研究では、植物分解性の糸状菌が本来備えているポリエステル分解システムを解明し、その機能をベースにしたプラスチック分解処理の基盤技術を開発することを目的としている。高いセルラーゼ生産能を有するTalaromyces cellulolyticusを対象に、セルロースおよび脂肪族ポリエステルを炭素源として誘導分泌されるタンパク質群の中から、ポリエステル分解酵素の探索を行った。 種々の脂肪族ポリエステルを炭素源として得られた培養液を評価した結果、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)を用いて得られた培養上清液において、PHB分解活性が確認された。分子量の異なる2種類のPHB分解酵素を精製し、LC-MS/MS分析によるゲル内タンパク質同定を行った結果、両酵素は同一遺伝子由来であり、Talaromyces funiculosusで同定済みのPHB分解酵素と非常に高い相同性を示すことが明らかとなった。 他方、セルロース炭素源とした培養上清液からは、ポリカプロラクトン(PCL)を分解する活性が確認され、リグノセルロース分解に関わる酵素群の関与が予想された。PCL分解酵素の精製に先立ち、PCLの分解によって生じるカルボキシル基末端を2-ニトロフェニルヒドラジンでラベル後に定量する簡易アッセイ法を確立した。本アッセイ法を用いて酵素を精製し、最終的に2種類の推定クチナーゼ及び1種類の推定ペクチンエステラーゼを同定した。さらにゲノム情報に基づいてこれらの遺伝子をクローニングし、T. cellulolyticusを宿主に用いて組換え酵素の大量生産に成功した。 本研究で同定された3種のエステラーゼは、いずれもTalaromycesにおいて初めてPCL分解活性が確認された酵素であり、今後の機能解析によって、植物分解性の糸状菌が本来備えているポリエステル分解システムの解明が期待される。
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