研究課題/領域番号 |
19K12411
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64040:自然共生システム関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平尾 聡秀 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 講師 (90598210)
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研究分担者 |
森長 真一 帝京科学大学, 生命環境学部, 准教授 (80568262)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 機能遺伝子 / 樹木実生 / 硝化作用 / 植生衰退 / 植物-土壌フィードバック / 土壌微生物叢 / ニホンジカ / 履歴効果 / 生物多様性 / 生態系機能 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、シカによる森林の植生衰退の対策として、生態系修復のため各地にシカ排除柵が設置されている。しかし、植生回復が十分進まない事例も多く、その原因の1つとして、植生衰退に伴う土壌機能の低下が植生回復を阻害することが考えられる。このメカニズムとして、土壌中の物質循環の変化だけでなく、土壌微生物叢の変化が直接的に植生動態に影響を及ぼしている可能性がある。本研究では、植生衰退が土壌の機能的コア微生物叢の改変を通じて生態系修復に及ぼす影響を解明する。
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研究成果の概要 |
本研究では、シカによる森林の植生衰退が土壌機能の低下を引き起こし、植生回復を阻害する負の植物-土壌フィードバック作用のメカニズムを明らかにするために、樹木実生と土壌微生物間の相互作用を分析した。その結果、植生衰退に伴う土壌中の養分動態の変化が土壌微生物の活性を低下させ、次世代の植物の成長に履歴効果として作用すること、また植物の機能グループ間で応答が異なることが明らかになった。本研究から、森林の植生衰退は、土壌微生物叢の変化によって植生回復を阻害するに留まらず、植生衰退以前と異なる植生への遷移を引き起こす可能性があることを示唆している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年、シカによる森林の植生衰退が環境保全上の大きな課題になっており、生態系修復のため、シカ排除柵が設置されているが、植生回復が十分進まない事例も多い。その原因として植生衰退に伴う土壌機能の低下が植生回復を阻害する負の植物-土壌フィードバック作用が提唱されている。本研究では、シカによる植生衰退が土壌微生物叢の変化を通じて土壌機能を損なう可能性があることを明らかにした。この成果は、植食者を介した地上部-地下部相互作用が履歴効果として森林生態系に影響を及ぼすことについて新たな知見を示すとともに、植生変化の予測や生態系修復の技術の発展に寄与すると期待される。
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