研究課題/領域番号 |
19K12415
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64040:自然共生システム関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小林 志保 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 助教 (60432340)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 集中豪雨 / 貧酸素化 / 沿岸海域 / 流動シミュレーションモデル / グリーン関数 / 流動シミュレーション / 海洋生態系 / Green関数 / 流域水収支モデル |
研究開始時の研究の概要 |
貧酸素化は,水域において酸素の消費が供給を上回った場合に発生し,水圏生物の窒息死を招く深刻な環境問題である.近年の集中豪雨の増加は,低塩分水が海面を覆って海域内部への酸素供給を妨げる期間の長期化につながり,新たな貧酸素化のリスク要因となっている.本研究では,海岸沿いの塩分を用いた流域水収支モデルの調整法と淡水流入量の推定法を開発し,任意の海域への集中豪雨の影響を迅速に評価する.また流動・生態系モデルを用い,集中豪雨に伴う淡水流入が海域の流動構造と海域下層への酸素供給量を変化させることを通じて,貧酸素化に及ぼす影響を定量評価できるようにする.
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研究成果の概要 |
本研究では河川モデルと海洋モデルを結合して豪雨時の淡水流入量を算出し,淡水流入が貧酸素化に及ぼす影響を生物化学過程と物理過程に分けることにより,集中豪雨による流動構造の変化が貧酸素化に及ぼす物理的影響を定量化した.本研究の対象海域では豪雨に伴う河川出水時には海水交換が促進されたが,出水後には強い塩分成層により海水交換とそれに伴う酸素供給が抑制されるようになると考えられた.現地観測の結果とモデルによるシミュレーションの結果から,底層の基礎生産力が高く有機物が豊富で夏季に酸素消費量が大きくなる浅い閉鎖性海域では,豪雨の増加により一時的な強い貧酸素化が起きやすくなる可能性があることが示唆された.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では河川モデルと海洋モデルを結合し,これにより任意の海域において,集中豪雨時の淡水流入量を迅速に評価できるようにした.また,淡水流入が貧酸素化に及ぼす影響を生物化学過程と物理過程に分け,これまで不明な点の多かった集中豪雨による流動構造の変化が貧酸素化に及ぼす物理的影響を示した.これにより流量データのない二級河川のみが流入する半閉鎖性海域においても,豪雨時に海域に流入する淡水量を降雨量から推定し,豪雨による海洋構造の変化を把握することができる.また急な低塩分化による養殖貝類のストレス評価,気候変動により増加する集中豪雨が海洋の貧酸素化に及ぼす影響の予測等,社会的な課題の解決にも応用できる.
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