研究課題/領域番号 |
19K12424
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64040:自然共生システム関連
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研究機関 | 和歌山工業高等専門学校 |
研究代表者 |
スティアマルガ デフィン 和歌山工業高等専門学校, 生物応用化学科, 准教授 (50625259)
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研究分担者 |
佐々木 猛智 東京大学, 総合研究博物館, 准教授 (70313195)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ミュゼオミクス / 分子系統 / DNAバーコーディング / 生物多様性 / 環境変動 / 分岐年代 / 博物館標本 / 貝殻 / ミューゼオミックス / ミトゲノム / ビッグデータ / ミトコンドリアゲノム / フィールドワーク / 貝殻標本 / 次世代シーケンサー / 多様性変動 |
研究開始時の研究の概要 |
6万5千種以上含む腹足類(巻貝や傘貝)の多様性進化の全体像は未だ把握されていないが、この分類群は古くから自然史研究の対象であるため博物館収蔵標本が全世界に多数ある。 本研究では、多数の腹足類の博物館標本からミトコンドリアゲノム全長配列(ミトゲノム)及び18S・28s rDNA全長配列の決定に加えて、新規ミトゲノム断片配列や公開済みの断片配列情報や、有用な化石・地質学的情報を入手する。次いで、得られるビッグデータを分析し、腹足類の多様性進化パターンと環境変動との関連を解明する。また、本研究の副産物としては、博物館収蔵標本のDNA実験への活用技術や環境モニタリングの基礎的技術の提供も期待出来る。
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研究実績の概要 |
本研究の最大目標は、大量なDNA情報や化石・地質学的情報を含むビッグデータセットで腹足類の大系統の解析を行い、腹足類の多様性変動のパターンと地史に起きた環境変動との関連を解明する。
コロナ禍に対応するために一部の研究を変更する必要があったが、R3-R4においては貝殻からDNAを抽出するための実験を行った。その結果、いくつかの手法を検討する必要があることまでは突き止めたが、本研究の最大目標を達成するための手法としては効率が悪いことがわかった。しかし、軟体動物貝殻からどのようなタンパク質が含まれているかを検討するための実験を博物館標本の頭足類のオウムガイやアオイガイで行い、その結果を論文として報告している(1本出版済み、1本査読中)。これが、今後の研究に使える情報と確信している。 また、地元の博物館の協力を得て無脊椎動物の古い標本を使った実験を行った結果、古い博物館標本によるDNAバーコーディング実験のためのプロトコルの検討を行った。これは、3本の論文として成果報告をした。このプロトコルを用いて、ベトナムやインドネシア、日本から採取されて日本の博物館に収蔵されている腹足類の標本を用いる。他方、多様性調査を報告した論文(ベトナムのサンプル)及び、腹足類のスガイの多様性変動と日本における地質年代の過去に起きた環境変化との関連性の解明についてを行った。その結果、1000以上の博物館標本から、4000配列以上のDNAの部分配列の新規決定ができた。その一部は、今までや上記したところで報告している。その一部の結果は学会で報告しただけではなく、現在査読中2本の論文としても報告している。 このようにしてコロナ禍の影響で研究がやや遅れて、手法を調整して、希望も多少縮小する必要があったため今後に解決すべき課題は残っているが、成果は出せている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究が遅れている最大の理由としては、非常事態宣言の繰り返しやその原因となるコロナ禍である。さらには、コロナ禍の影響による生産トラブルにより、試薬など消耗品が遅れて届いたこともあった(最長で半年間)。さらに、価格高騰によって従来の計画の実施が困難になったものもある。このことにより、当初予定していた研究訪問や実験の実施ができなくなったり、大幅に遅れてしまったことがある。また、方法を変えたり希望を多少縮小したりする必要もあった。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍で現段階できることとしては、断片配列情報決定の遂行を継続し、完了させる。他方、ミトコンドリアゲノム全長配列の決定が本研究の目標の達成に必要かどうかを再検討する。場合によっては、より大量にデータが取れる方法であるトランスクリプトーム解析、もしくは大量の部分配列の次世代シーケンサーによる解析(アンプリシーク解析)に変更することも検討したい。これらの解析については、受託サービスか、ゲノム支援制度に申請して、データの作成に協力を得たいと考えている。このことによって、コロナ禍によって遅れてしまった分や価格高騰で実施が難しくなった解析など研究の巻き返しができると見据えている。
また、今まで成功した膨大な断片配列を用いる腹足類の多様性変動と環境変動との関連についての解析がある程度できると考えているため、少しずつではあるができるだけ学会や論文での研究成果の発表を行い、研究の最終目標の達成ができるように計画を立てている。
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